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2008年10月17日 (金)

これも医療の正常化? その道程に横たわるものは

まずは記事を紹介します。

病院への入院依頼“困難”が35%超

 医師不足、公立病院の閉鎖や縮小など医療基盤の崩壊が進む一方、高齢化の進行などで医療需要が高まる中、開業医が病院に入院を依頼する際、支障をきたすケースが35.5%に上ることが、全国保険医団体連合会(保団連)の「開業医の病診連携に関する実態調査」で明らかになった。救急搬送依頼の受け入れ困難も34.5%に達しており、保団連では、「病診連携の上で、病院の医師不足や病床数不足が困難に拍車を掛けている。行政を含む解決への取り組みが急務だ」と指摘している。

 同調査は、地域医療に不可欠な病診連携の現状や課題を把握するため、保団連に加盟する会員8465人を対象に実施。仙台市でこのほど開かれた保団連の「医療研究集会」で発表された。

 開業医が病院に入院を依頼する際、「(入院先が)見つかる」が62.5%だった一方、「見つからない場合もある」27.5%、「見つけるのに苦労する」8.0%の合わせて35.5%が入院に支障をきたしていることが明らかになった。
 救急搬送時にも、「(受け入れ先が)見つかる」が64.5%だった半面、「見つからない場合がある」20.8%、「見つけるのに苦労する」13.7%の計34.5%が“困難”を経験していることが分かった。

 また、診療所がある市町村で、心筋梗塞や脳梗塞などの重危篤患者や高度先端医療を扱う第三次医療機関が「ない」ところが30.7%に上った。さらに、地域の救急搬送システムについて、開業医の24.3%が「十分とは言えない」と受け止めていることも分かった。

 保団連では、「このような実態の背景には、病院経営の悪化や勤務医の過酷な勤務実態がある。これらの改善が医療基盤の整備に不可欠で、国民の命と健康を守るためにも、診療報酬の適正な改正と社会保障重視への国政の転換が求められている」と強調している。

病床削減、病院減らしは国策ですから、そう簡単に方向性が変わるものとも思えませんが、こういうところで影響は確実に滲透してきているわけです。
しかし一方では皆保険制度の下で医療費が安いということもあって、今までは入院適応を厳格にしていく、ひいては医療費を削減していくというモチベーションが医者、患者双方とも薄かった事は確かでした。
時おり新聞に呼吸器を外して医師が送検されたなんて話が載っていますが、あれも外国であれば「先生頼むから止めてくれ!今度は俺たちに首を吊らせる気か!」と家族が泣いて頼む国の方がむしろ普通であるわけです。
そういう意味では普通の庶民がお金の心配をせず「先生なんでもやれるだけの治療をやってください」なんて事が当たり前に口に出来る日本の医療事情は随分と恵まれていたのは確かでしょう。

日本の医療現場には未だに昔日の甘い思い出に浸っていらっしゃるのか、「何かよく判らないので取りあえず入院」なんてことを仰る(そして若い者に丸投げする)愉快な爺医の皆さんも大勢生き残っていらっしゃいます。
何とかも山の賑わいなんてことを言いますが、実のところ上の記事もそうした古い医師と今風の厳格な入院適応を実践している医師との軋轢という側面もあるのかなとも感じています。
今後医師の世代交代が進んでくると「入院は入院でなければ治療できない患者だけ」という本来の入院適応が当たり前になってくるんじゃないでしょうか。

さて、こうした課題山積する医療現場にとうとうしびれを切らしたのでしょうか、医療に強い(笑)読売が「医師を全国に計画配置、医療改革で読売新聞社提言」をまとめたそうです(苦笑)。
まあ言うのが商売の仕事ですから何を言おうが自由なんですが、その内容がまさにキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!なんですよ。

医療改革読売案 国民の不安を払拭する時だ(10月16日付・読売社説)

 医療と介護の現場から大きな悲鳴が聞こえている。現状を早急に改善しなければならない。
 読売新聞は4月に公表した年金改革案に続き、医療・介護の包括的な改革プランを提言する。
 衆院解散が遠くないと見られる今、これを世に問うのは、与野党が総選挙で社会保障改革を真っ向から争点に掲げ、内容を競い合うべきだと考えるからだ。
 この提言をたたき台の一つとして、各党がそれぞれ医療・介護に関する公約を深化させ、年金を含む社会保障改革について国民的議論が広がるように願う。

 ◆若手医師を計画配置◆

 読売新聞は日本の医療・介護が直面する現状を俯瞰(ふかん)し、問題点をあぶり出した上で、「ただちに実行すべき緊急対策」と「着実に取り組むべき構造改革」の二段構えで処方箋(せん)を書いた。
 最重要かつ最優先の課題は、医師不足の解消である。
 医師の数はできるだけ早く、大幅に増やすべきだ。だが、医学部の定員をいくら拡充しても、一人前の医師が育つまでには10年近くかかる。それを待てる状況にない。
 ならば、医師不足がより深刻な地域や分野に、集中的に人材を送り込まねばならない。

 即効性ある方策として、卒業後2年間の義務研修(初期研修)を終えた若手医師のうち、さらに専門医を目指して3~5年の後期研修に臨む人を、大学病院など全国の基幹病院に偏りなく、計画的に配置する。
 研修中とはいえ、この段階の医師は一人前だ。その“配属先”を国が決定する。地域・診療科ごとに人数枠を定め、本人の希望ともすり合わせて配置を行う。
 そして、人材に余裕が生じる基幹病院から、医師不足が深刻な地域へ中堅・ベテラン医師を派遣する。その計画を立て、調整する公的な医師配置機関を都道府県ごとに創設する。
(略)

 ◆医療と介護を連携◆

中長期的には若手のみならず、医師全体の人材配置を計画的に行わなければならない
 現状は医師免許さえあれば、何科を名乗ろうと、どこで開業しようと、ほとんど制約がない。医師の偏在を招く、過度な自由は改めるべきだろう。
 各地域で診療科別の必要医師数を定め、救急、産科、小児科といった緊急性の高い不足分野からまず増員されるよう、医師配置機関が権限をもって調整する。
 24時間型救急「ER」を全国400か所に整備することや、技量の高い真の専門医、患者を総合的に診られる家庭医の育成も盛り込んだ。さまざまなレベルの医療機関と医師を過不足なく配置し、連携させることが重要だ。
(略)

惜しむらくは読売さん、これは日曜版の芸能面あたりで取り上げるべきネタでしたね。
「医療の現場から大きな悲鳴が聞こえている」のに、現場に更なる悲鳴を上げさせてどうする気なんだ(爆笑)

こういう脳内お花畑な人びとにとって、「人が逃げ出すのは職場環境が悪いからであって、まず環境を改善していかないと人は戻ってこないよね」なんて発想は全くないんでしょうね。
逃げ出すならとっ捕まえて働かせればいいとばかりに強権で人を縛り付けることを考える、「個人の権利?何それ?御国のために黙って働け!」ですよ(笑)。
まあ読売さんが主観的世界の中で歪んだ医療業界に正義の鉄槌を下したいと考えられるのはご自由ですが、こういう人たちに個人の権利の尊重だの社会的平等だのと言うきれい事のセリフを口にする資格はありませんわな。

何か悪いモノでも食ったのか知りませんが、読売さんは社をあげて医師の人権抑制を推し進めようという気になっているようです。
医者共に好き放題やらせたからこんなザマだ!と一生懸命アピールしていますが、欧米並みの医療を目指すと言うなら医師の待遇も欧米並みにしようって言わないと、お得意の印象操作って言われちゃいますよ(苦笑)。

医師不足招いた「自由選択」 

「外科、産科」「地方」がピンチ

 各地で医師不足が深刻になり、病院の縮小、閉鎖が相次いでいる。解決のため、読売新聞社は、若手医師を計画配置することを提言した。こうした方法は、欧米先進国でも取られている
(略)
 欧米では、医師の偏在を防ぐため、様々な規制が行われている。
 フランスでは、国が地域や診療科ごとに必要な医師数を調査し、各病院の研修医の数を決めている。
 医学生は、卒業時に国の試験を受け、成績上位の学生から順に、希望する地域や診療科に進む。心臓外科などの専門診療科で研修できるのは、毎年5500~6000人いる卒業生の約半分だ。希望通りの分野や地域に進める学生は1000人程度。中でも放射線科などは狭き門だ。
 研修医になる段階で定数が決められ、診療科の偏在は、ある程度なくすことができる。
 ただ、研修が終われば働く病院を自由に選ぶことができる。パリや南仏などの病院は就職先として人気が高く、地域的な偏りは避けられない。パリ第5大学のパトリック・ベルシュ医学部長は「地域ごとにも、医師を強制的に配置する必要がある」と強調する。

 地域ごとに、開業医の計画配置を実施しているのがドイツだ。
 1993年、州ごとに人口当たりの医師定数を設けた。定員の110%を超える地域では、保険診療を行う保険医として開業することはできない。東京医科歯科大の岡嶋道夫名誉教授は「開業医の定員制は、医師の偏在を防ぐ一定の効果をもたらしている」と言う。
 ドイツ保険医協会のローランド・シュタール広報担当部長(40)は「93年以降、定数を変えておらず、旧東独地域では医師が足りない。『村』単位まで適正な医師数を出すよう、改定作業を進めている」と話す。

 米国では、医療団体や市民らでつくる協議会が、心臓外科、脳外科など24の分野について、専門医になるための研修を行う病院を選定する。研修医1人当たりの症例実績が十分ある病院が対象で、募集枠の人数も実績に応じて決まる。この結果、特定の診療科や地域に医師が偏ることを防止できる。
 例えば脳外科専門医は、米国は約3000人と、人口当たりの医師数で日本の約5分の1に制限されている。このため、一人の医師がこなす手術件数は、日本の医師の5倍に上り、医師の技量も向上する。
(略)
 欧米のように、医師配置に関する規制策を求める声も聞かれる
 熊本大病院の山下康行教授(放射線科)は「熊本大では、かつて年20人ほどいた外科志望者が、最近では1~2人だけになった。政府は全国の医学部定員を増やす方針を打ち出したが、それだけでは各診療科に必要な医師数が確保される保証はない。それどころか、産婦人科や外科などは敬遠される状態が続き、ひずみはますます大きくなるのではないか。診療科ごとの医師数に定員を設ける必要がある」と話す。

ま、敬遠されて人が集まってる場所がどこになっているのかは知りませんが、少なくとも日本で医者が余って困ってる診療科ってのは聞いたことがありませんけどね。
いずれにしても現場の人間が何を求めているのかは人によって違うと思いますが、少なくとも読売さんの主張する未来絵図とは望むものが異なっていることだけは確実でしょう。
比較的意識が高いと思われる医者の卵達のこんな声がありますので、最後に紹介しておきます。
読売さんの記事を読んだ全国の医者の卵達が希望に燃え、不安を解消することが出来たかどうか、一度くらいは彼ら自身に尋ねてみたらよいのではないでしょうか?

未来のドクターたちの希望と不安

 これから医療の世界に飛び込もうとしている未来のドクターたちは、何を考え、何を求めているのか-。10月11日から13日まで開催された「国際医学生連盟日本(IFMSA-JAPAN)」の総会に出席した医学生に、将来の希望と不安を聞いた。(大戸豊)

  5年生の男子学生は小児科を希望している。誰かに志望を話すと、「大変じゃないの。大丈夫か」と心配されるという。「自分はつぶれてしまうのではないかという不安がある。でも、やりがいのある科。ぜひやってみたい」と話してくれた。一方、3年生の女子学生は、「産婦人科医になりたいと思っていたが、家族に反対され、将来の志望について悩んでいる」という。
 5年生の女子学生は、ドクターと併せ、医系技官も選択肢に入れている。「社会を変えていこうと思った場合、技官として働く方が近道なのかもしれない」と考えるようになったという。3年生の女子学生は、選択肢の一つとして産業医を考えているという。「病院よりも、むしろ企業と接している方が向いているかもしれない」という。地方の大学で学ぶ彼女は、全国の医学生と接する機会は貴重だという。
 3年生の男子学生は、「医療崩壊といわれるが、いっそのこと米国に行こうか」と友人に話すことがあるという。「医師は『職人』ではないか。腕があれば、どこででも食べていける。自由診療の国で技術に見合った報酬を受けるのもよいのではないか」と語り、「日本には海外への人材流出を引き止めるシステムがないのでは」と指摘した。

 いつか裁判に掛けられるのではないかという不安もある。
 別の5年生の男子学生は「医師不足で、科によって医師の偏りがある。どの科を選ぶべきなのか悩む」という。また、「医療事故が起こった場合、自分に過失があれば認めるが、間違っていなくても裁かれるのだろうか。医者が安心して仕事ができる仕組みがほしい」と語った。
 別の3年生の男子学生は、外科か救急医療の道を志している。日本も訴訟が増え、「医師が狙われるのでは」という不安感があるという。「わずかでもチャンスがあれば、患者を救う方に賭けるのが医者のはず。その行為で訴えられるのなら、医者はどう仕事をすればよいのか。どんな場所でも『ドクターはいませんか』と求められれば、すぐさま手を挙げ、訴訟を気にすることなく、全力を尽くして患者を助けることができる環境がほしい」と語った。

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コメント

小泉純一郎と久松篤子 再婚阻止

    百合子 ・110ウルマ 裏ファミリー 〇 美しい失楽園のすすめ

    イイジマ ・不治3軽 裏性界 〇 呆治 日本

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投稿: イイジマ 不治3軽 ・裏工作 | 2009年6月25日 (木) 00時26分

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