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2008年10月22日 (水)

生きていくことはゼロリスクではない

某所でちょいと笑えるコピペを見たので紹介しておきます。

小学生の頃、無茶をする奴がヒーローだった

給食でスイカが出ると、限界まで食う挑戦が始まり白い部分まで食ってた
最後は皮まで食った奴がヒーローになった
後日、給食に「ゆで卵」が出た。僕は今日こそヒーローになろうと思い
「俺は噛まないで飲み込むぜ!」と言って丸ごと飲み込んだ
しかし、そんなことは他のクラスメートも楽々クリアーして次のステップに進んだ
「俺は殻ごと食うぜ!」と言った奴が殻ごとバリバリ食い始めた
クラスの視線はそいつに集中し、今日のヒーローそいつに決まりかけた
だが、僕もこのまま引き下がれない。何かないか考えた
ゆで卵に付ける塩としてアジシオの瓶が数本用意されていたので
「俺なんて、このアジシオを一気しちゃうもんね!」と言って内蓋を外し、アジシオを一気に飲み込んだ
焼けるように喉が熱かったが、涙目になりながら牛乳で流し込んだ 苦しそうな僕の姿を見てクラスメートは賛辞を送った
そして僕は今日のヒーローになれた
しかし、5時間目の授業中に急に具合が悪くなってきた
ヒーローが保健室に行くのはまずいと思い必死に耐えたが限界だった
僕は机の上に吐いてしまった
そしたら先程食べたゆで卵が丸ごとゴロンと出てきた

その日から僕のあだ名は「ピッコロ」になった

一昔前なら(今でも)こういう笑い話はどこの学校でもありふれたものだったわけですが、時々笑い話で済まなくなってくるのが現実世界というものです。
すでにご存知の方も多いと思いますが、給食でパンを喉に詰まらせて児童が死亡するという事故がありました。

男児パンを詰まらせ死亡 千葉・船橋

 千葉県船橋市宮本の市立峰台小学校(末永啓二校長)で6年生の男児(12)が給食のパンをのどに詰まらせ、窒息死していたことが21日、分かった。

 同小などによると、男児は給食の時間の17日午後0時45分ごろ、直径約10センチの丸いパンを食べてのどに詰まらせた。ちぎって一口を食べた後、残りを2つに割って一度に口に入れたという。

 気付いた担任の女性教諭がやめるよう注意。周りにいた児童がスープを飲ませるなどして廊下の手洗い場ではき出させたが取り除けず、男児が「苦しい」と訴え始めたため、教諭が廊下に寝かせて救急措置を施し、119番通報。救急車で病院に搬送されたが、同日夕に死亡した。

 同小は20日の全校集会で児童に男児の死亡を伝え、市教委は児童のショックが大きいとして同小にカウンセラーを派遣した。

テレビ報道を見たところでは、10cmほどの直径の丸いパンだったそうですが、さすがに丸のみは無茶だろjkと。
こんにゃくゼリー事件で開陳された野田聖子理論に基づけば、モチはのどに詰まるものだという常識を多くの人が共有しているがパンはそうではないので、早速パンを規制の対象にしなければならないと言うことになるわけでしょうね。

ちなみに2006年の厚労省調査によると窒息死症例数でこんにゃくゼリー2例に対してモチ169例、パンは90例と堂々のワンツーフィニッシュを占めるほどの極めて危険な食品なんですけれども(ちなみに御飯は89例と僅差の3位)。
野田理論に基づけばこうやって事故が多発することでパンが危険な食品であるという認識が共有されることこそ望ましいなんて結論になりかねませんが、これだけ多数の事故が発生していてもまだ危険意識が滲透していないということになれば何人の犠牲者が必要になるのでしょうか。
世間では何でもこんにゃくパンなどというトンでもない危険食品まで売られているらしくて、こうした国民の生命を危うくするものは即座に法的規制の対象にしなければならないってことですよね。

まあ野田理論の妥当性はともかくとしても、近ごろではこういう事例と絡めて大きな問題となってくるのが損害賠償請求です。
医療機関においては色々な弊害が顕著になってきている訴訟リスク問題ですが、近ごろでは社会一般にまで広まってきているということですね。

デイサービスで窒息の男性、後遺症で法人提訴 神戸

 デイケアサービスの利用中に食事がのどにつまり障害が残ったのは、職員が安全保護義務を怠ったためとして、神戸市東灘区の男性(77)と妻(75)が二十日、同市灘区の医療法人「康雄会」を相手に、慰謝料など約六千四百万円の損害賠償を求める訴訟を神戸地裁に起こした。

 訴状によると、男性は、同法人が経営する東灘区の介護老人保健施設を利用。六月、回転ずし店で食事中、誤っていかのにぎりずしが気管に入った。付き添いの職員が、異物除去の措置をとったが、すぐに救急通報はしなかった。約十分後、男性の心肺が停止。その後、駆け付けた救急隊員によって心拍は再開したが、低酸素性脳症で機能障害が生じ、寝たきりの状態となった。

 原告側は「早く窒息を発見し、即座に救急通報しなかったのは重大な過失」と主張。同法人は「訴状を見ていないので、コメントできない」としている。

無論どのような場合であれ、民事訴訟にうって出る権利というものは万人に対して開かれたものでなければなりません。
しかしあまりにゼロリスクを追及し過ぎることは結局のところ国民の不利益という形で還元されてくるということも知っておかなければならないことではあります。

デイサービスでの業務から考えると利用者に回転寿司店で食事させるというのは本来の仕事ではないことは容易に判るわけです。
どこで何を食べても一定の確率で事故は起こるわけですが、今後は施設外で利用者の好物を食べてもらおうなんて行為はハイリスク行動として忌避される可能性が高まることでしょう。
さて、その結果一番損をするのは誰になるかということですよね。

医療という現場はたまたま様々な要因からこうした不利益の還元が早くに達成されたという事情もあるわけですが、今や広く国民生活の全ての面でそうした影響が現れ始めていることは認識しておかなければならないでしょう。
たとえばこんな記事からも「ここまで意識改革が進んでいるんだ」というメッセージを受け取ることは可能かと思います。

カルガモ小屋撤去 県南部運動公園、県「危険」と処分へ

 徳島県南部健康運動公園(阿南市桑野町)の池に浮かべてあったカルガモ用の小屋が「子どもが乗って遊ぶと危険だ」として県により撤去された。小屋は市の依頼で住民が手作りしたもので、住民は「いい公園にしようと、せっかく協力したのに残念だ」と肩を落としている。

 小屋は昨年七月、池に放したカルガモのすみか用にと、市が近くの桑野公民館に製作を依頼。鎌田武館長ら住民五人が材料を持ち寄って作った。
 小屋は岸から約三メートル離して浮かべて使用。カルガモも気に入ったのか、三月には二度にわたって小屋の中に卵九個を産みつけた。

 ところが、管理する県南部県民局県土整備部の担当者が九月に入って突然、市に「小屋は水難事故の危険性がある」と指摘。「子どもが上に飛び乗って遊ぶと池に落ちておぼれるかもしれない」と同月下旬、公園内のトイレ脇へ撤去した。
 鎌田館長らは子どもが近寄れない池の中心部に移すなどの存続方法を提案したが、県の方針は変わらず、小屋は近く処分されるという。

 設置から一年余り過ぎての対応に、関係者は困惑している。鎌田館長は「風景の一部として、利用者にも親しまれていただけにやり切れない」と話している。

近未来における可能性の高い状況として、国民生活全てにおいて「過度のリスク排除」が徹底された社会というものを想像してみてください。
すでに医療の世界ではそうした事態が進行していますが、その結果がマスコミの言う「医療崩壊」という現象の一端として明らかになってきているわけです。
良い悪いという評価は各人の価値観もあるでしょうが、少なくともなんだかあまり楽しそうには思えないじゃないですか?

日本人は世界的に見ても比較的我慢強い国民性だと思いますが、逆に言えばお互いが少しずつ我慢し合うことでうまく回ってきた社会的背景もあるわけです。
あれだけ平和が続いた江戸時代の人口が自給できる限度一杯の3000万人ほどでずっと横ばいだったという話は有名ですが、地理的に閉鎖された国土で国の総体としてのパイの大きさが限られていた事がそういう人間性を養ってきたのかも知れません。
しかし最近国が豊かになってきたせいか、妙なところで妙な塩梅に国民性が変化してきているのかなと感じる人も多いのではないでしょうか。

時代の流れと言ってしまえばそれまでですが、「あれ?それって何か違うんじゃね?」という社会的な共通感覚は残していきたいものです。

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