« 今日のぐり「定食・喫茶 亀山」 | トップページ | 揺らぐ医療制度の根幹 いっそもっと揺らすべき? »

2008年10月20日 (月)

こういうのも同床異夢と言うのでしょうか?

先日読売新聞が素晴らしい医療改革案を提示してくださったことを紹介しましたが、読売新聞によると厚労省も医師強制配置に前向きなのだそうです。

読売提言の医師計画配置、厚労省課長が前向き発言

 厚生労働省の佐藤敏信医療課長は18日、秋田市内で講演し、医師の計画配置について「結論から言うと、計画配置をする考えはある。よい規制だ」と導入へ前向きな考えを示した。

 佐藤課長は、医師の計画配置には、職業選択の自由や官僚統制などを理由に批判があるとしながらも、「今はハコ(病床数)の規制があるのに、人の規制はできない」と現状に疑問を投げかけた。講演後の質疑に答えた。

 医師の計画配置を巡っては、読売新聞は16日に発表した医療改革の提言で、医師不足解消を図るため、若手医師を地域・診療科ごとに定員を定めて配置するよう求めている。

医療崩壊と言う現象の最大の理由が「現場の志気崩壊」であることを理解していれば、更に志気崩壊を促進する方法論を取るなんて私などには怖くてとてもとても…
まあこの件に関しては、面白そうだからどんどん推し進めてみるのも楽しいことになっていいんじゃないかなという気もしているのですけどね(苦笑)。
最近は医者という人種もそれなりに社会から情報を集めてこれる程度には知恵がついてきていますから、まともな知性と理性を持っている有能な人材ほど適切な対処ってやつを見せてくれることでしょう。

さて、先頃厚労省から医師臨床研修のマッチング結果が発表されました。
細かく見ていくと勝ち組病院、負け組病院というものが見えてきて面白いなと思うのですが、同じく読売さんの地方版から記事をひいてみましょう。

研修医配置で地域格差

 2009年度から臨床研修を受ける研修医と県内の臨床研修指定病院12か所の希望を突き合わせる「マッチング」の結果、研修医の希望が和歌山市などの5病院へ集中し、7病院ではゼロとなった。医師不足のなか、研修医は戦力として期待されるだけに、「地域間の格差」という課題が改めて明らかになった。

 臨床研修制度は、研修医が自由に病院を選び、医師免許取得後、2年以上の研修を義務付けている。医師臨床研修マッチング協議会(東京)によると、県内では09年度から75人が研修を受ける見込み。12病院の募集定員の72・1%だったが、全国平均の69・6%は上回った。
(中略)
 全国的に、臨床件数が多く、医療設備が充実した病院に人気が偏る傾向にある。県内でも、県立医科大付属病院では卒後臨床研修センターを設置し、研修内容を充実している。

他の病院でも研修医を確保するため、大都市の合同説明会に参加するなどしており、県医務課は「県としては各病院の研修内容などの情報提供を強化したい。国にも地域偏在の現状を考えるよう訴えたい」としている。

「臨床件数が多く、医療設備が充実した病院」に人気が偏ることが判っているなら、こうした点を完全して研修医にとって魅力的な病院にしようと言うのがまっとうな考えですよね。
いくら「大都市の合同説明会に参加」しようが、「各病院の研修内容などの情報提供を強化」しようが、肝心の中身が伴ってなければまともな人材ほどそうした研修先は敬遠して当然です。
教育のための能力もない病院が何の研修医募集ですか?医師として最も重要な最初の二年間に何をどう研修させるつもりなんですか?
そもそも臨床研修というものは医師が医師として必要な能力を身につけるために行うものであって、場末の病院が安価な労働力として研修医という名の奴隷を使い潰すために存在するシステムではないという事を未だに理解できていないからこういうことになるのですよ。

先の毎日新聞提唱、厚労省推奨の素敵な医師強制配置計画の実行面を考えていった場合に、まず第一段階で行われるのはこうした臨床研修医募集枠の定数規制でしょうね。
上の記事を見ても判ると思いますが、基本的に求職している新卒研修医数に対して求人の総数が多すぎるのです。
例えば現状で医師が集中している「症例数が多く、医療設備も整っており、素晴らしい研修プログラムを用意している」病院の定数を削減させ、「症例は少なく、医療設備などろくなものがなく、研修プログラム?何それ食べられるの?」な病院の定数増に回す。
さて、何やら素晴らしいスキルをもった臨床医が次々と巣立っていきそうな素敵な未来図が思い描けませんでしょうか?

ちなみに冒頭の記事で挙げました佐藤敏信氏ですが、こちらの記事に見られるように熱心な医師集約論者と言うことのようです。

「医療の問題を整理すると、まずは人、そして箱、お金です。箱の対策としては集約化をやろうということですね。地域の医療施設を整理するというのは、地元にとってとても大変なことですよ。病院開設者の立場もあれば、選挙もあります。それでもやっていかないと、地域によっては、産科施設がすべて倒れてしまうおそれがあります」(佐藤氏)

今年度要求される医師確保対策の予算概算は、この事業に最も大きな比重がかかっています。これは、日本では医師が「広く薄く」配置されているために、ひとつひとつの施設で医師の労働環境が非人間的になり、安全性も低下するという考えから、医師など「医療資源」を一施設に集約あるいは重点配置していこうとするプランです。 

かねてから「遠くまで産みに行かなければいけない」「個人産院から分娩業務をとりあげるもの」などと議論の的になってきましたが、プロセスはすでに平成 18年夏からスタートしており、現在、都道府県は集約化の計画を提示するように求められています。そして平成19年度は計画が実施に移されます。平成19年度は、集約化が本格稼働する年になるのです。 

プランが実施される場合、県全体ではなくある地域のみですが、すでにある総合周産期母子医療センター、地域周産期母子医療センターなどが「連携強化病院」になります。そして、まわりの施設の産科は、「分娩をやめて妊婦健診や婦人科診療のみにする」「リスクが十分低い分娩のみを扱うことにする」など現在の業務の一部を削り、その際ベッド数を削ることになるかもしれません。

この場合、機能やベッド数を縮小した施設が収入減になってしまう、産科を他科にする改装費用が必要になるなどさまざまな問題が出てきますが、来年度に要求する予算は、その補填などに当てられます。この事業を実施するか否か、具体的にどの施設を対象としておこなうかを決定するのは都道府県です。

読売さんの主張する医師強制配置が「医師のいない地方へ医師を強制的に送り込む」ことを主眼としているとすれば、佐藤氏の主張する医師強制配置とは「地方に分散配置されている個々の医師を強制的に集約化する」と言うことになりそうです。
当然ながら医師を引き抜かれる側の地方にすれば今まで以上に医者がいなくなってしまう理屈で、到底読売さんの主張するような未来絵図になるとは思えませんがね。

なんだか読売さん、「どうだ見てみろ!厚労省も俺たちのアイデアをかってるんだ!」なんて自画自賛してる場合じゃなさそうですよ?

|

« 今日のぐり「定食・喫茶 亀山」 | トップページ | 揺らぐ医療制度の根幹 いっそもっと揺らすべき? »

心と体」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/42851551

この記事へのトラックバック一覧です: こういうのも同床異夢と言うのでしょうか? :

« 今日のぐり「定食・喫茶 亀山」 | トップページ | 揺らぐ医療制度の根幹 いっそもっと揺らすべき? »