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2008年9月22日 (月)

ジェネリックは医療費削減の特効薬となるか?

国がジェネリック(後発品)の使用を積極的に進めています。
元々欧米諸国ではおおむね処方薬の半数程度が後発品と言われますが、日本では10%台と普及が遅れていました。
マスコミ界隈では何故か「後発品普及が進まないのは薬価差益の旨みを手放したくない病院の陰謀だ!」などというトンデモ論がまことしやかに喧伝されていたりもして苦笑するしかありませんが、それはともかく。
最近では度重なる制度改定のおかげ?もあってか普及率が向上してきているようですが、そろそろ頭打ちになりつつあるという話もちらほら。

医療 普及への処方箋 ジェネリック利用の環境整備

 以前は医師がジェネリックを処方する場合、なじみの薄いジェネリックの商品名や成分名を、処方箋に書く必要があった。しかし、平成18年、これが普及の妨げになっているとの意見から様式が改訂された。医師の署名があれば、先発薬名が書かれた処方箋でも、薬局でジェネリックに切り替えられるようになった。
 ところが、改訂後も普及は伸び悩んだ。
 厚労省が昨夏行った調査によると、全国の保険薬局の薬剤師が受け取った処方箋のうち、「変更可」に署名があったのは17・4%。さらに、実際に薬局でジェネリックが処方されたのは1・4%だった。

 こうした事情を受け、厚労省は新年度から、処方箋の様式を再度改訂。ジェネリックに変更してもよい場合に医師が署名する従来の様式から、「変更不可」の場合に、医師が署名する様式に改める。
 厚労省の医師に対する調査では、ジェネリックを「積極的に処方したい」と答えた医師は11%にとどまったが、「基本的に処方しない」と答えた医師も約18%足らず。「特にこだわりはない」という医師が大半の7割だった。
 同省保険局医療課は「医師に特にこだわりがないなら、『変更不可』にチェックはされない。そうすれば、患者は医師よりも話しやすい薬剤師に『薬をジェネリックにしたい』と言えばよく、ジェネリックの利用促進につながる」と改訂の趣旨を説明する。

「後発医薬品(ジェネリック)使用」は頭打ち-促進策に危機感

医師や病院への対策が急務
 日本保険薬局協会(NPhA)の漆畑稔専務理事は10日、都内で講演し、薬局の後発医薬品使用状況の調査をもとに、「後発品使用促進を目的とした診療報酬改定にもかかわらず、後発品使用は進んでいない」と指摘した。特に、病院からの処方せんが主体の会員薬局に対する調査では、後発品に変更可能な処方せん発行が全体の57%と少なく、病院や処方医への対策が必要だと訴えた。

薬局の「調剤率30%」見直し
 NPhAでは今年4月、約300の会員薬局と、診療報酬改定の影響を調べるため定点観測している約600の薬局を調査。変更可能な処方せんは、診療所の処方せんが主体の定点観測の薬局では76%と、会員薬局の57%に比べて高かった。
 また、変更可能な処方せんのうち、会員薬局で34・7%が、定点観測の薬局で26・1%が実際に変更されて調剤されていた。
 さらに漆畑氏は、後発品の備蓄状況についても紹介。定点観測の薬局の場合、後発品の備蓄品目数が4月28日時点の平均で370品目と、診療報酬改定前の1月末の351品目に比べて若干伸びているものの、薬局の経営悪化で総品目数が減少していることを示し、「備蓄医薬品で後発品の占める比率は増えたが、品目数自体は頭打ちになっている」と危機感を示し、積極的推進のためには「500品目程度の後発品備蓄が必要ではないか」とした。
 こうした状況から漆畑氏は、「後発品使用促進には、さらなる対策が必要だ」と訴えた。特に、処方医の意識改革の必要性を指摘すると共に、医療機関全体で変更不可としているケースもあるため、医療機関に対しても何らかの対策をとっていかなければならないとした。
 薬局の課題としては、後発品使用によって薬剤料の減収に加え、患者への情報提供に手間がかかるなど、薬局調査でも「経営に悪影響」との回答が多いことを挙げ、何らかの対策が必要だと指摘した。さらに、調剤基本料で後発医薬品調剤体制加算の要件である「後発品の調剤率30%」は既に達成している薬局が多く、現状ではそれを超えて推進するインセンティブが働かないため、目標の見直しが求められるとした。

まあ制度変更である程度のところまでは普及が進むとは思いますが、未だ医療費削減より質の維持に重点を置きがちな日本医療界において欧米並みの普及が達成されるかどうかは疑問ですね。
欧米ではおおむね五割程度と言われる後発品普及が日本で進まないのは何故か?と言えば、何より主成分が同じなら効果も同じという保証はないからでしょう。
簡単に言えば、原料はどれも同じ小麦粉と塩だからと言って出来上がるうどんも同じ味という保証がないのと同じことですね。

現在のところ薬剤投与後の血中濃度推移が先発品と同等であるという一事をもって同等の効果があると認定していますが、はっきり言って「効果は同じであるはず」という前提に立った手抜き認定システムであることは万人の認めるところでしょう。
薬剤としての物理的安定性の評価などは不十分であるし、主成分以外の成分から起こることも多い副作用頻度等のデータは全くないわけです。

また実際の話として考えると、薬局で後発品を選択したとして選んだ薬が必ずそこにあるという可能性は少ないわけです。
近所の大きなスーパーに行けばたいていの品目は揃っているでしょうが、特定品目について全メーカーの品があるわけではないのと同じことですね。
こういう場合薬局側はこの薬の後発品にはこれこれの種類があると全てを提示して患者に選択させ、ストックがない場合には直ちに取り寄せるということになっています。
慢性期で急がない場合はそれでもよいのでしょうが、例えば風邪などの急性期で早く薬飲んで寝たいというような場合の利便性は大幅に低下する理屈です。

近ごろではジェネリック普及が進んできたが故にこうした問題が明らかになってきたという事情もありますが、敢えてそうしたリスクを犯してまで危ない橋を渡るほど日本の医師達が医療費削減に徹していないというのは良いことなのか悪いことなのか?
後発品に換えようが換えまいが処方する医師に何のメリットもありませんから、この場合良いとすれば誰にとって良いことであり、悪いとすれば誰にとって悪いことであるという視点も必要になってくるのでしょうね。

ジェネリックの光と影:/3 「認可条件緩い」と敬遠 ◇てんかん、心臓病治療…わずかな差で影響も

 国立病院機構静岡てんかん・神経医療センターは多数の後発品を使っている。しかし、井上有史・副院長は、先発品の抗てんかん薬を使って発作を起こさずにいる患者には、処方せんに「(後発品への)変更不可」のサインをする。
 厚生労働省は製薬会社に対し、飲み薬の後発品を認可する際、飲んだ人の血中濃度の測定試験をするよう求めている。認可条件は「後発品の血中濃度が、95%以上の確率で、先発品の濃度の80~125%の範囲に収まる」ことだ。厚労省によると、経験的に決まった許容範囲で、日米欧で採用されている。
 だが井上副院長は「てんかん患者は、微妙なバランスで発作が起きない状態を保っている場合が多い。血中濃度が、認可範囲内の20~25%違っても、発作や副作用を起こす可能性がある」と懸念する。欧米では後発品への切り替えに伴い、患者の1、2割程度が発作の増加や副作用を経験したとの調査が複数報告されている。
 発作が起きれば失職したり交通事故を起こすかもしれない。「範囲を外れる率が5%では高すぎる」と井上副院長は訴える。先発薬から後発薬への変更に限らず、後発から先発、後発同士の変更でも考え方は同じという。
 日本てんかん学会と日本小児神経学会は今年3月、「抗てんかん薬治療では(先発と後発、または後発同士の)切り替えに医師と患者の同意が不可欠」と提言。「発作が抑制されている患者で、服用中の医薬品を切り替えるのは推奨されない」と指摘した。

 皮膚科で使う塗り薬にも慎重論がある。
 金沢大病院皮膚科(竹原和彦教授)は、アトピー性皮膚炎など塗り薬を長期に使う患者の処方せんに「変更不可」の署名をしている。
 塗り薬には治療に直接働く有効成分のほか、「基剤」と呼ばれる成分が含まれる。基剤は薬を塗りやすくしたり有効成分を吸収されやすくする役割を持つ。先発品と後発品は、有効成分は同じだが、基剤は違ってもよい。
 竹原教授は「有効成分の量が同じ薬でも、基剤が悪ければ理論的に、患部に浸透する薬が減る。実際に患者に使って効果が落ちなかったとのデータがあればよいが、それなしで(後発品を)使えといわれても困る」と訴える。後発品を全否定はせず、抗ウイルス剤などは使うという。
(中略)
 効果や副作用以外にも、違いはある。
 武庫川女子大薬学部の内田享弘(たかひろ)教授らは、小児用の抗生物質(粉薬)で先発品と後発品、計10品目を比べた。服用時を想定して水に溶き、5人に飲んでもらった。味覚測定機でも調べて点数をつけた。先発品より大幅に苦い後発品が3品目あった。内田教授は「苦い薬は子供が飲まず、結果的に治療効果に差が出かねない」と指摘する。逆に、味が改善された後発品もある。
 国立医薬品食品衛生研究所の川西徹・薬品部長は「先発品と後発品で味、錠剤の大きさや外観の差で飲みやすさが違う場合がある。ただし、味や飲みやすさは国の保証範囲外。薬剤師が特徴を知り、患者に薦める薬を説明すべきだ」と話す。

最近ホクナリンテープの後発品で喘息発作が増悪したという報告が注目を集めていますが、臨床の現場で長く暮らしていれば「同じ成分のはずなのにどうも効果が違うような…?」と言う経験は誰しも持っているものです。
特に古い薬の場合は本当に主成分が効いているのやら疑問という場合が多々あって、おそらく原材料から製法まで全く同じにしないことには同じ効果は保証できないのではないかと思いますね。
そして問題はそういう古い薬ほど愛好者?が多く良く出る薬が多いということでしょう。

最終的には患者の自己判断でという話になるわけですが、今のように院外薬局に任せきりになるとどの薬で副作用を来したかという情報の担当医へのフィードバックが保証されないのは問題でしょうね。
患者にとっては最悪の場合後発品の一つでたまたま出た副作用によって同一成分の薬剤全てが使用できなくなる可能性もあるわけですが、今の食品汚染問題などを見ていますと遠からぬ将来そうした問題も大きくマスコミを賑わすことになる気がして仕方がありません。
「同じ効果があるはず」の後発品に変更するだけでこの騒ぎですから、医療費を削るというのもこのように詳細に見ていけばなかなか大変なことではあるわけです。

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