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2008年9月19日 (金)

解散間近な政治情勢と医療との関わり

福田総理の辞任を受けて自民党総裁選から一気に総選挙になだれ込みそうな勢いですが、その陰ではかねて言われていた消費税値上げ論争が盛んなようで、近い将来の10%程度への値上げは確定的と言う感じになってきました。
ところでご存知のように消費税と言うものは最終消費者が負担するという建前の税制ですが、幾つかの業界ではこうした消費者への転嫁が税法上出来ないようになっています。
この一つが医療業界で、病院の仕入れには消費税がかかるのにも関わらず、売り上げの方では患者から消費税を取ることが出来ないということになっているのですね。

政府厚労省は「消費税分は診療報酬で配慮している」という立場ですが、実際に計算してみるとこの配慮分(1.53%と言います)を超過し赤字という医療機関がほとんどであって、これが医療機関の損税問題と言われるものです。
実際の額が幾らになるかという試算については諸説あるようなのですが、一病院あたり平均五千万円前後という計算が多いようですね。
面白いのは、同様に最終消費者に消費税を転嫁できないと認められた輸出産業などは、輸出戻し税と称して巨額のお金が戻ってくるシステムになっていることです。
まあそのあたりは政府に対する力関係というものも大きいわけでしょうから、選挙に対する影響力をどの程度発揮できるかが業界団体の発言力に直接関わってくるわけですが、その点医師会という団体は凋落著しいようです(苦笑)。

茨城医師連が民主候補推薦

 茨城県医師会の政治団体、茨城県医師連盟は17日、次期衆院選の県内7選挙区すべてで民主党の立候補予定者を推薦すると発表した。同連盟の民主党候補推薦は初めて。
 日本医師会の政治団体、日本医師連盟や各都道府県の医師連盟は自民党の有力支持団体で、民主党候補推薦は異例だ。
 茨城県医師連盟の原中勝征委員長は記者会見で「後期高齢者医療制度に表れた国民生活無視の政府の社会保障制度に対して行動する時と判断した。自民党とは長年にわたる深い関係があるが、自民党支持の意見は出なかった」と述べた。
 推薦されなかった自民党議員は、有力な厚生労働関係議員として知られる丹羽雄哉元厚相や、額賀福志郎前財務相ら。

9月17日の時点でこういうニュースが出まして、まあそんなものだろうと思っていましたら、翌日に出たニュースがこちらです。

麻生氏、社会保障費圧縮を凍結  「10年度予算で」日医連に伝達

 日本医師会の政治団体、日本医師連盟(日医連)の羽生田俊常任執行委員は18日午前、都内で記者会見し、社会保障費の自然増を毎年2200億円削減する政府方針について、自民党関係者が麻生太郎幹事長の意向として「2010年度予算で凍結したい」と伝えてきたことを明らかにした。
 日医連はこれを受け、衆院選の対応について「自民党を中心とした政権与党の候補者を推薦する」との方針を決めた。
 羽生田執行委員は「医療費抑制策をしている自民党をなぜ推すのかという意見は2年前からあるが、政権与党に政策を訴え、理解は十分に進んだ」と述べた。

「茨城の自民候補推薦もあり得る」―日本医師連盟

 日本医師連盟(唐澤祥人委員長)は9月18日午前、記者会見を開き、政権与党への支持をあらためて表明した上で、都道府県医師連盟に対して「日本医師連盟は自民党を中心とする政権与党の候補者を推薦する。各地域の会員にはその主旨にのっとった行動をお願いする」などとする文書を送付したと発表した。茨城県医師連盟(原中勝征委員長)が次の衆院選で同県内の7つの小選挙区すべてで民主党候補を推薦すると発表したことを受けたもの。

まあ何と言いますか、小林まことの「What's Michael?」と言う漫画に登場する隣家の不幸な犬「伸之助」を連想させるような話ではありますかね(笑)。
前回参議院選挙でも日医御推薦の武見敬三が落選したことはそこそこニュースになりましたが、そもそも医師会の方針決定システム自体が一部幹部が勝手に決めていると批判にさられれているのが現状で、これが更なる医師会離れを招くという末期症状に陥っている観すらあります。
医師会はいい加減に足許を見つめ直して抜本的な組織改革を行っていかないと、世間や勤務医からだけでなく現会員からも本当に見放されることになりそうですね。

郡市医師会が日医に反論「9割が聞いてない」―死因究明厚労案

 「これでは日医がわたしたち一般会員の代表だとは言えない」―。長崎県諫早市の諫早医師会(髙原晶会長)が行ったアンケート調査によると、約9割の郡市医師会が、厚生労働省が創設を検討している死因究明制度の第三次試案などについて、「日本医師会や都道府県医師会から質問されたことはない」と答えていたことが分かった。日医は4月に、約8割の都道府県医師会が第三次試案に賛成するとの内容のアンケート結果を公表しているが、今回の調査結果により、日医の信頼性が問われることになりそうだ。

 厚労省は、医療機関で死亡事故などが起こった場合に原因を調査するなどの機能を持った「医療安全調査委員会」(仮称)の設置を柱とする死因究明制度の創設を検討している。

日医は厚労省の検討会にも委員として参加しており、制度の第三次試案や「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」には肯定的な立場だ。5月には「厚生労働省第三次試案に基づく、医師法第21条の改正と、医療安全調査委員会設置の法制化を強く要望する」とする見解を発表しており、この見解は日医が都道府県医師会に対して実施したアンケート調査結果を踏まえたものとしていた。アンケート結果は、「第三次試案に基づき制度を創設すべき」が76.6%、「創設すべきでない」が14.9%などで、8割近くの都道府県医師会が第三次試案に賛成していることを示していた。

■アンケートは一部の意見だけ?
 しかし、このアンケートには疑念の声が上がった。7月末に東京都内で開かれた死因究明制度に関するシンポジウムの会場に来場していた高原会長は、日医の木下勝之常任理事に対し、「たった1回のアンケートが根拠で、それに答えたのは(都道府県医師会の)常任委員の一部だけ。郡市医師会まで話が来ていない」と不満をぶつけた。さらに、諫早医師会が第三次試案などに反対する内容のパブリックコメントを日医や都道府県医師会、厚労省に出していたとした上で、「わたしが郡市医師会に対し、地べたの医師会員として問う」と、諫早医師会から各郡市医師会に対してアンケートを実施する考えを伝えた。

■「賛否決まってない」郡市医師会が9割
 諫早医師会のアンケートは、960の郡市医師会に送付され、447医師会から回答があった。
 それによると、日医や所属している都道府県医師会から厚労省案への賛否を「質問されたことがない」が88.4%に上ったのに対し、「されたことがある」は10.7%にとどまり、郡市医師会の意見が都道府県医師会に反映されていない様子が浮き彫りとなった。
 また、厚労省案について理事会などで「正式に賛否を議論した」と回答したのはわずか5.6%。「していない」が72.7%、「議論したが賛否は決めていない」が21.3%で、厚労省案に対する正式な見解がまとまっていない郡市医師会が94.0%にも上っている
 「正式に賛否を議論した」医師会のうち、厚労省案について「おおむね賛成」が3.4%、「趣旨には賛同するが、厚労省案には問題があるのでこのままでは賛成できない」が9.8%、「反対」が3.6%、「回答なし」が83.2%だった。
 また、死因究明制度に関連する情報を会員に広報するための説明会などを「実施していない」医師会が95.6%と圧倒的に多かった。
 厚労省案の対案となる、民主党の「患者支援法案」についての質問では、「内容まで知っている」が9.4%、「聞いたことはあるが内容を知らない」が 48.1%、「聞いたことがない」が41.4%など。また、「議論していない」が98.5%で、ほとんど周知が進んでいない様子だ。

■「日医のやり方、将来に禍根残す」
 また、自由回答では、次のような意見が寄せられている。
「日医の常任理事のみのレベルで今回の医師会全体の賛成論議とするのは非常に問題」(兵庫県三田市医師会)
「このような重大な問題を抱えた法案を日医執行部のみが医師会員の意見を問うことなく代弁しているかのごとき処理の仕方は、将来に禍根を残す」(岡山県吉備医師会)
当医師会でも正式文書で県医師会へ厚労省第三次試案への反対を表明。しかし、議論されずに県常任理事会レベルで賛成表明がなされた。県医師会としての意見の総意を反映したものとは言えず、郡市医師会として無力感を感じており、県医師会への意見上程が必要。民主党案が厚労省案より良いという多くの会員の声を聞いている」(長崎県大村市医師会)
「関心を持って記事を読んでいるが、議論の場や時間が確保できない」(名古屋市医師会緑区支部)
「介護保険制度から後期高齢者医療制度まで次から次へと創設される『新制度』。それでよくなったことはあるのか?」(北海道空知南部医師会)
「この新制度が始まって困るのは国民で、医療従事者ではないことを理解する必要がある」(山口県吉南医師会)
「日医はこの問題でも政府の言いなり。しかも誤った政府の説明(うそとも言える)をそのまま伝えるだけ。医師会員や国民の医療ということがまるで頭にない」(大阪府富田林医師会)
「第三次試案では人間は死なないものという発想があるように思われる。医師が通常の死亡と判断した場合でも、遺族の出方次第で事故死となる可能性がある。航空機事故や鉄道事故と異なり、人間の場合には解剖を行っても死因がすべて分かるわけではないことから、医療事故死の定義を明確にすべき」(広島県呉市医師会)

 諫早医師会は9月12日、日医に対して「新しい死因究明制度に関する要望書」を郵送。要望書では、同会のアンケート内容を示した上で、日医が実施したアンケートが会員の意思を表しているものではなかったとして、「この死因究明制度は、わが国の医療の未来を左右するほど重大で、また医療従事者の間でも賛否が大きく分かれる極めて複雑な問題。このような問題については、十分な情報に基づいた広く開かれた議論を行い、なるべく多くの日医会員の合意を得るよう、最大限の努力がなされるべき」とした。最後には、厚労省案だけでなく民主党案も含めた情報を一般会員に周知し、再度議論した上で、あらためて日医としての見解を出すよう要望している。

■活動全般にわたって会員の声を
 高原会長はキャリアブレインに対し、「今回は死因究明制度に対する意見をメーンとして日医に声を上げたが、本当は日医の活動の全般にわたって、一般会員の声を吸い上げるようにしてほしいという趣旨がある。きちんと話し合いをしなければならないということ。これでは日医はわたしたち会員の代表ではないのではと思う。会員の合意がないままに、日医の中だけで意見をまとめたものを『会員全員の合意だ』と大声で言ってもらっては困る。日医は診療報酬改定や選挙の時だけ目立って声を上げているが、そうした意見や行動は会員の総意ではないということだ。日医には変わっていただきたい。次期衆院選に向けても、候補者すべての意見をきちんと聞いて決めていくつもりだ」と語った。
 また、今後はインターネットなどを活用して郡市医師会の横のネットワークをつくる活動も展開する予定だという。

一方、日医の中川俊男常任理事は17日の定例記者会見後、キャリアブレインに対し、この件について把握していないと述べた。

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