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2008年8月27日 (水)

医療関連ニュース二題

少しばかり目についたニュースを二つ紹介してみます。

医師の所得を直接支援 手当新設し財源補助 厚労省

 厚生労働省は26日、新たな医師不足対策として、救急医や産科医、僻(へき)地(ち)に派遣される医師の所得を、直接支援する仕組みの具体案をまとめた。医療機関の給与規定に「救急勤務医手当」や「分娩(ぶんべん)手当」を創設してもらい、これらの手当の財源を国と都道府県などが補助する形とする。平成21年度の実施を目指し、関連経費96億円を平成21年度の概算要求に盛り込んだ。

 医師への直接的な財政支援策は、政府が7月末にまとめた「5つの安心プラン」の目玉施策の1つ。医師不足対策はこれまで、診療報酬の引き上げが一般的で、医療機関への収入が増えても勤務医らの処遇改善につながっているかは不透明だった。このため、手当という形で医師の所得を直接支援することにした。

 救急医については、特に過酷な夜間・休日を担当する勤務医に手厚く支援するため、宿日直手当や超過勤務手当とは別に救急勤務医手当を新設。夜間1回最大1万8659円、休日昼間最大1万3570円支給する。また、産科医には分娩手当として、分娩を1回扱うごとに最大1万円を支給する。これらの手当の財源は、国が3分の1を補助し、残り3分の2を都道府県と市町村、または医療機関が負担する。

 僻地医療を担当する医師については、通勤交通費を補助する形で支援する。医師が僻地に居住する場合は、週末帰宅や、医師の子供が市街地の学校に通うための交通費も支援対象に含める。僻地の医療機関1カ所あたり年間最大131万3000円を支給。国の補助率は対象が民間医療機関の場合は3分の1、公的医療機関の場合は3分の2で、残りは医療機関側が負担する。

病院への補助ではなくて実際に働く医師への補助という形にするというのは正しい着眼点なのですが、問題はその財源。

そもそも医療費総額を断固として削るという方針を堅持している中でこうして一部に金を出していくということは、他の部分でそれ以上に削るということなのは自明の理でしょう。
しかも音頭を取る国は一部しか金を出さないとくれば、そもそも実効性ある所得増加につながるのかどうかが何とも微妙。

そもそも公立病院では以前から何だかんだと手当の類はつくのですが、肝心の本給の点では永年勤続の事務にも劣るといういびつな給与体系が続いている点に問題がありませんか。
最終的な引受先として最も確実なのは公立病院であるならば、現場を支える医師には一時しのぎの手当でなくちゃんと医師の本給を引き上げるという当たり前の評価をするべきでしょう。
こんなやり方を続けていくのなら、若くて奴隷労働が出来るうちはそれなりの収入を稼げても、年を食って救急当直を外れた途端に給与激減で「俺はもう用済みってことか?!」と激怒する医師続出ということになりかねませんよ。
と言いますか、すでに激怒して医師がどんどん逃散しているのでしたね…

救急医療の「東京ルール」を提言

 東京都の救急医療対策協議会はこのほど、救急医療体制の改善に向けて「救急医療の東京ルール」を都に提言した。都は、都民の意見や今後の協議会の検討を踏まえ、来年度から同ルールを実施していく方針。

 「救急医療の東京ルール」は、▽救急患者の迅速な受け入れ▽トリアージの実施▽都民の理解と参画―の3本柱。限られた医療資源を有効活用し、救急医療が真に必要な患者に迅速に提供する上でのルールを作り、都民、医療機関、消防機関、行政機関の4者が協力・協働する取り組みだ。

 「救急患者の迅速な受け入れ」では、救急医療機関が一時的に受け入れ、応急的な医療を提供した後、必要があれば他の医療機関に転送する「一時受け入れ・転送システム」の導入を提案。受け入れ先の医療機関が決まらず、救急車が長時間にわたって出発できない状況の解消を目指す。このほか、地域の救急医療機関の連携を推進し、二次救急医療機関では対応が難しい患者を受け入れる「東京都地域救急センター(仮称)」の設置なども盛り込んだ。

 「トリアージの実施」については、都が今年度からモデル事業として実施している「小児救急トリアージ普及事業」の成果を踏まえ、一般の救急にも「トリアージ」を広げていく方向を示した。また、救急現場で緊急性が認められない傷病者に対し、同意を得た上で自己受診を促す目的で昨年6月から試行的に実施している「救急搬送トリアージ制度」についても、搬送の基準などを検証した上で、本格実施していく方針だ。

 このほか、「都民の理解と参画」については、救急医療の現状や今後の取り組みに関する情報を「さまざまな機会に」発信する。

 東京消防庁によると、1998年から2007年までの10年間に、救急車による搬送患者数が29.8%増加しているのに対し、救急医療機関数は10年前に比べて約2割減少。救急隊の現場到着から搬送開始までの時間は過去5年間で約4分延びている。

 都の担当者は「病院の選定時間などを減らすなど、『東京ルール』を状況改善につなげたい」と話している。

東京都は先年以来救急搬送のトリアージを唱えていますが、今のところそれほど有効に機能はしていないようです。
まあ考え方としては当然ありだなと思うのでこれから細部を改善しながら運用していけばよいかなと思って見ているのですが、この記事はどうでしょうか?

「救急医療機関が一時的に受け入れ、応急的な医療を提供した後、必要があれば他の医療機関に転送する「一時受け入れ・転送システム」の導入」というのは例のER型医療施設を念頭に置いているのでしょうが、発想自体は決して悪くないと思います。
ただし昨今の医師不足の時代、実際にこれが出来るような施設を作り上げることが出来るかどうかが一番の問題でしょう。
国レベルの発想の転換が必要な話ではありますが、例えば全国的にこういう施設を用意していくことを前提に後期研修システムの一環としてER勤務を組み込んでいくという方向性はありかも知れません。

問題は東京都と言う場所は特に都市圏で顕著な医師不足(この場合は需要に対する供給という意味です)の中で例外的に医師が集まっている場所ではあるのですが、逆に言えば東京で通用するやり方を他地方にそのまま広げていくというのが難しい可能性がありますね。
いずれにしてもその場合にはER担当医が圧倒的に地雷を踏む確率が高くなるわけですから、くれぐれも個々の医師を組織あるいは国として守り保護していくという姿勢を大前提にしなければならないでしょう。
何度も繰り返してくどいようですが、医師を使い潰すような場所に今どき医師が集まるということはないのですから。

しかしどうもねえ…石原知事の過去の言動をみると素直にまともなシステムが出来上がってくるような気がしないんですよねえ…(苦笑)。

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