2009年7月11日 (土)

さらに新型インフルエンザの話題 大阪なのにそれは…

今回も新型インフルエンザに関連して、まずはこちらの速報記事から紹介してみましょう。

【速報】男性医師が新型インフル感染 広島の安佐市民病院(2009年7月9日中国新聞)

 広島市は9日、市立安佐市民病院(安佐北区)の30代の男性医師が新型インフルエンザに感染したと発表した。診療時には常にサージカル(医療用)マスクを着用しており、患者への感染の恐れはないという。

 同病院によると、男性医師は8日、勤務を終えて帰宅した後に発熱。9日の出勤後も熱があり、検査したところ感染が判明した。現在は自宅で静養中。他の医師15人と看護師7人の計22人は、予防のためタミフルを服用している。

この症例の場合、むしろどこから感染したのかということに興味が湧くところなんですが、それはともかく国内発症は確認しただけでも既に2000人を越えたということです。
実際にはそれよりもはるかに多い患者が市中に存在しているものと想定されますから、今や新型インフルエンザは珍しい病気ではなくなってきました。
その割に大騒ぎになっていないのは以前にもお伝えしましたように、患者の1/3から半数程度は発熱を呈さないなどいわゆるインフルエンザ様症状があまり見られない場合が相当にあると考えられることで、罹患者自身も周囲もそれがインフルエンザであると認識していないのではという想像が出来るところです。
そうなりますと通常のインフルエンザ以上に症状のない不顕性感染者による医療機関や介護施設等への持ち込み、高齢者への集団感染のリスクというものが心配になってくるところなのですが、どうも今回の場合少しばかり話がややこしいようなのですね。

国内高齢者にも免疫か  新型インフルに40%が抗体保有(2009年7月5日47ニュース)

 国内の高齢者の一部が、新型インフルエンザウイルスに対して一定の免疫を持っている可能性があることが、国立感染症研究所などが実施した調査で5日分かった。30人を対象とした小規模な調査で、新型ウイルスに反応する抗体を40%の人が保有していた。

 米疾病対策センター(CDC)の調査でも、60歳を超える人の一部に免疫がある可能性が指摘されているが、日本人での報告は今回が初めて。

 ただ調査対象が少ない上、この抗体によって新型ウイルスの感染を実際に防ぐことができるかどうかは不明。感染研は今後、さまざまな年齢層でどのぐらい新型への抗体を保有しているか、1千人規模の調査をする。

 今回の調査には新潟大と福岡市の原土井(はらどい)病院がそれぞれ採取した血清サンプルを使用。若者(平均年齢27・8歳)と高齢者(同83・4歳)の2グループ各30人を対象に、新型インフルエンザウイルスに反応する抗体が血清中にあるかどうかを調べた。

 すると高齢者グループの40%で抗体の保有が確認され、新型ウイルスに対してある程度の免疫を持っている可能性が示唆された。若者では3・3%だった。

 一方、季節性インフルエンザのワクチンを接種しても、若者、高齢者ともに新型ウイルスに対する抗体の上昇は確認できず、既存のワクチンには新型への効果が期待できないことがあらためて分かった。

新インフルワクチン3~4割減 厚労省、製造量を下方修正(2009年7月3日)

 厚生労働省は3日、12月末までに製造できる新型インフルエンザワクチンは1400万~1700万人分との見通しを明らかにした。これまでは約2500万人分とみていたが、原料となる種ウイルスの増殖性が低いと判明し、6~7割程度に下方修正した。

 新型インフルエンザは冬を迎えた南半球や、東南アジアで広がっており、日本でも秋以降、流行の本格化に備え、ワクチン接種を求める声が高まると予想される。優先的な接種の対象者として医療従事者、基礎疾患がある人が挙げられているが、高齢者、子どもなども対象にすべきだといった意見もある

 厚労省は「(ワクチンが足りるかどうかは)どのような人に優先的に接種するかや、今後の感染の広がり方による。(製造量は)まだ努力の余地がある」と説明。今後、対象者を決めるのに専門家の意見を聴くが、限られた製造量になることで、難しい判断を迫られそうだ。

 来年2月まで製造を続ければ2300万~3千万人分ができるという。

 種ウイルスについて国立感染症研究所や国内メーカー4社で研究、増殖性が季節性のウイルスよりも低く、製造可能量が減った。これまでは新型の増殖性が季節性と同等と仮定して、製造可能量を試算していた。

社会集団への流行を防ぐという視点からの学童への集団予防接種が様々な要因から実質終わりになって以来、インフルエンザ予防接種については医療従事者や基礎疾患のある人などかかってしまうとマズいという人々に対して行うという方向にシフトしてきていました。
その点で今回もハイリスクである高齢者には接種を優先せよといった論調もありましたが、こういう話を聞いてみるとむしろ高齢者の方がかかりにくいということになりますし、実際に前回ご紹介しました疫学データでも20代以下が8割と、若年層に患者が集中するという現象が確認されているわけですね。
さて、そうなりますとワクチンが出回り始めたとして、果たしてまず誰を対象に使っていくべきなのかということも今から検討していかなければならないところでしょう。

さて、もう一つの話題として先日こんなニュースがあったことを御存知の方も多いと思います。

新型インフル:大阪の患者もタミフル耐性 世界2例目(2009年7月2日毎日新聞)

 厚生労働省は2日、大阪府内の新型インフルエンザ患者から、インフルエンザ治療薬「タミフル」に耐性を持つウイルスが検出されたと発表した。タミフル耐性のウイルスが確認されたのは、デンマークの患者に次いで世界2例目。患者は既に回復し、感染は広がっていないため、厚労省は「公衆衛生上の危険はない」としている。

 厚労省によると、患者は5月24日に微熱が出て、28日に発熱相談センターに連絡。同29日に新型インフルエンザと診断された。治療薬のリレンザを投与され既に回復している。

 この患者は、家族が5月中旬にインフルエンザに感染していたため、発症前にタミフルを予防投与されていた。不審に感じた医療機関が検体を府公衆衛生研究所に送り、ウイルスを培養して遺伝子を調べたことろ、変異が見つかった。

 インフルエンザウイルスは変異が起きやすく、Aソ連型のウイルスの多くにはタミフル耐性があった。製薬会社の添付文書では、タミフルを投与されたインフルエンザ患者の0.3~4.1%に耐性ウイルスが出現するとされている。【清水健二】

世界一のタミフル大国日本ですから当然耐性株の広がるのも早いだろうとは誰しも想像できるところで、遅かれ早かれそう言うものが出てくるのは当然ではあるのですが、この件について世間では妙に騒がれてしまった気配もあります。
その原因とも言うべきものの一つが大阪府の一連の対応なのですが、こちらに引用してみましょう。

タミフル耐性ウイルス、検出は先月18日…大阪府は報告せず(2009年7月3日読売新聞)

 大阪府内の新型インフルエンザ患者から、治療薬タミフルが効かない耐性ウイルスが検出されたことを受け、府も2日深夜、記者会見を開いた。

 府は6月18日に遺伝子検査でタミフル耐性ウイルスを検出していたが、「感染拡大の恐れはなく、より専門的な検査が必要」として今月1日まで厚労省に報告していなかった。厚労省が2日、公表を促し、急きょ発表したという。

ウイルス遺伝子変異発表遅れに質問集中(2009年7月3日日刊スポーツ)

 治療薬タミフルに耐性を示す新型インフルエンザウイルスの遺伝子変異が確認されたことを受け、大阪府は3日午前0時前から緊急の記者会見。6月18日時点で遺伝子変異を確認していたことが明らかになり、「なぜ世界初の時点で発表しなかったのか」「どうして遅れたのか」との点に質問が集中、府側は釈明に追われた

 府によると、府立公衆衛生研究所で6月18日、遺伝子変異を確認。しかしウイルスそのものが変異しているかを調べる手法の検討に時間がかかり、厚生労働省への報告は7月1日にずれ込んだ。海外で初めて耐性ウイルスが報告されたのは6月末だった。

 府健康医療部の担当者は、患者の家族には耐性がみられなかったことや、本人が治療薬リレンザで回復したことから「公衆衛生上、重大事象ではないと認識してしまった。公表が遅れたことは申し訳ない」と陳謝した。(共同)

大阪府がタミフル耐性ウイルス公表前に論文投稿(2009年7月5日産経新聞)

 新型インフルエンザに感染した大阪府内の40代の女性から検出されたウイルスで、治療薬タミフルに耐性を示す遺伝子変異が確認された問題で、府が今月2日の記者会見でこの件について公表する前に米国の医学誌に論文を投稿していたことが5日分かった。

 府健康医療部の大下達哉副理事は「意図的に投稿を優先させ、公表を遅らせたわけではないが、結果的に批判を受けても仕方がない対応になってしまい申し訳ない」と釈明している。

 府によると、府立公衆衛生研究所のウイルス解析で、6月18日にタミフル耐性を示す遺伝子変異を確認した後の24日に、研究所の職員が医学誌にこの結果を記した論文を投稿したという。

 府は6月18日の時点では遺伝子変異について発表はしておらず、7月2日の会見で、発表が遅れたことについて「遺伝子自体が変異しているかどうかを調べる手法の検討に時間がかかった」「確実に耐性ウイルスと分かった時点で発表するつもりだった」と説明していた。この会見についても、7月1日に報告を受けた厚生労働省から「早く公表したほうがいい」と勧められたため開いたものだった。

妙に大騒ぎになってしまったのは大阪府にとって大きな計算違いだったのでしょうが、こうした会見の様子をみる限りではどうも大阪府は先のSARS騒動で中国政府が国際的批判を浴びた理由が理解できていなかったようですね。
今の時代にあって何であれ情報というものは隠せば隠すほど痛くもない腹を探られることになりかねませんが、この場合関わった人間も一人や二人ではなさそうな上に、公表を遅らせた理由が色々と想像できるだけに「うっかり」は通用しにくいところです。
どのような経緯でこうした判断に至ったのかは記事からははっきりしませんが、お役所ももう少し処世術を学ぶということを覚えていかなければならないと思いますね。

関西圏では観光客の激減などに見舞われ「新型インフルエンザなんて大したことないんですよ!」とアピールに懸命なようですが、まず行政当局がこうした姿勢を改めない限り「やっぱり本当はヤバいんじゃないの?」という懸念の声は消えないと思います。
そもそも世間的には無名のむさい役人のオッサン達がぺこぺこ頭を下げている絵などマスコミにとってもさして美味しいものではないわけですから、だったらプレゼンテーションのスタイルというものももうちょっと工夫しろやって話ですよね。
最近も色々と話題になっている某芸人出身の知事さんなども見ていますと色々と突っ込み所はてんこ盛りなんですが、どんなシビアな局面であれとりあえずボケて見せられる、笑いを取れるというのはマスコミの絵的には非常に有利だなということにはいつも感心しますね。
その点では大阪府はマスコミ業界にもその名を轟かせる知事閣下という大きな売りがあるわけですから、こうした際にこそ担ぐ御輿の威光を活用しない手はないとも思います。

国際学会などでは「日本人の演者は真面目で、登壇しても聴衆の笑いを取るジョーク一つ言わない」なんてことを言われますが(ちなみに褒められてません)、マスコミが好きな謝罪会見なんかでも見るからに下手を打ってしまう人間というのがいて、謝罪のやり方を書いた本まで売っている時代にわざわざああいう火に油を注ぐ輩を出すなよと突っ込みたくなります。
ちょっとしたテクニックで自分の立場を有利なものに出来るというのであれば活用しない方が馬鹿ですし、逆にそれも出来ない人間に組織を代表して人前に出させてはいけないのに、役所だとか医療業界だとか言ったあたりはそのあたりのマネージメントがまるでなっていないのはもったいないですよね。
特にお笑い芸人知事の先進地であり、世界に名を轟かせるお笑いのメッカでもある大阪で商売している以上は、役人といえどネタにもならんことやっとったらあかんやろと言うことです。

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2009年7月10日 (金)

思わず突っ込みたくなる話あれこれ

先日その崩壊をお伝えしました全国公立病院PFI化の先駆けである高知医療センターの件ですが、やはりと言いますかPFI解約の方向で話がまとまってきているようです。
以前にも何度か取り上げてきました通りここに至る経緯についても突っ込み所は山ほどあるのですが、まずは今回の解約に関する記事から紹介してみましょう。

オリックスがPFI終了説明(2009年7月7日読売新聞)

 高知医療センターの経営業務を担う特定目的会社・高知医療ピーエフアイの主要株主となっているオリックス(東京)の西名弘明副社長が6日、県庁と高知市役所を訪れ、尾崎知事、岡崎誠也市長とそれぞれ面談した。PFI契約終了に向けた協議入りについて、西名副社長は「医療、関係会社に迷惑をかけないよう、円満な解決を目指したい」と述べた。

 尾崎知事に対しては、「特定目的会社には協力企業も多く、内部の調整も残っているが、原点に戻って議論したい。円満な方向でと考えている。県民に不安を与えないようにしたい」と強調。尾崎知事は「誠意をもって話し合いをさせてもらいたい」と応じた。

 続いて行われた岡崎市長との面談では、「いろいろと思いはあったが、一度白紙に戻して協議に入りたい」と述べ、岡崎市長は「医療センター建設当時の熱い思いも聞いているので、見直ししなければならなくなったのは残念」と話した。

この円満解決なる茶番劇を、別な視点から眺めるとこういうことになるのでしょうか。

「オリックス」病院民営化でも丸儲けしてトンズラ (2009年7月9日ゲンダイネット)

 郵政民営化と並んで小泉改革のシンボルだった「病院の株式会社化」がもう頓挫した。

 民間資金や経営ノウハウを活用するPFI方式を導入して、鳴り物入りでスタートした高知医療センターがひっそり、公立病院に戻ることになったのだ。残ったのは巨額の負債と税金による尻拭いだが、PFIを担ったオリックス不動産などの企業団は儲けるだけ儲けてトンズラする。ふざけた話だ。

 高知医療センターは高知県立中央病院と高知市立市民病院が統合し、05年3月にオープンした。PFI方式を導入した初の公立病院で、行政側は総額2131億円の30年契約を、民間企業グループによるSPC(特定目的会社)と結び、施設建設や運営を委ねた。

 PFI方式は英国で始まり、日本でも90年代後半から注目されるようになった。積極活用すべし、と旗を振ったのはオリックスの宮内義彦会長が議長を務めた「総合規制改革会議」だ。

 米国の年次改革要望書も病院の民営化=競争原理の導入を強く要望。こうした流れで高知医療センターがスタートしたのだが、PFIを担ったのがオリックスグループだったことから、発足当初から「デキレース」の批判が噴出していた。

 こうした批判を吹き飛ばすには、とにかく、経営で実績を示すしかなかったのだが、赤字が止まらず、先月中旬、ついにPFI契約解消の協議が始まったのである。行政側の「病院企業団」事務局次長の村岡晃氏は、この間の経緯をこう説明する。

「赤字は当初から覚悟していましたが、計画を上回る赤字が出た。平成20年末で運営資金が足りなくなったのです。そのため、病院を運営する民間企業側(SPC)にもっと経費を削減してもらうように話し合ってきました。県知事、市長もオリックスに協力要請をしましたが、すぐに黒字化するのは無理だということで、民間企業側が身を引くことになりました。そうすれば、年間5億円の運営委託費を削ることが出来るからです」

 身を引くと言えば、聞こえはいいが、要するに「儲からないから撤退する」のだ。PFI方式の売りは経費節減で、「薬などの材料費が安くなる」との触れ込みだったが、大ウソだった。そのため、累積赤字が80億円に達し、昨年度末は県と市が緊急資金援助する事態になった。

 ところが、この間もオリックスらの企業側は年間5億円の運営費を取り続けた。企業側は儲けるだけ儲けて、事業を放り出したのである。

「責任者出てこい!」と言いたくなる。

それはまあ、一連の騒動の中でもオリックスはまったく損はしていないとも言いますから円満解決とも言いたくなるんでしょうが、巨額の税金を貢がされた形の県民、市民がそれで納得できるのかということです。
知事や市長にしても本来なら有権者の代弁者としてそうした点を突っ込まないといけないし、無為に損害を与えた責任を痛感していなければならないはずだと思うんですが、この他人事ぶりはいったいどうしたものなんでしょうね?
医療センターに関しては相変わらず色々な面でうまく回っていないような噂も漏れ聞こえてくるところですが、こういう馬鹿馬鹿しいことばかりやっているようだとますます現場のモチベーションも下がりっぱなしということになるのではないでしょうか。

さて話は変わって、どこの施設でも人手は足りない、しかしもっと稼がなければ赤字が増える一方ということで、特に赤字垂れ流しの地方公立病院ほど現場へのノルマの押し付けとも言える労働強化指令が出されている状況です。
当然ながら一度こういう状況に陥りますと程なく「やってられるか!」と集団でのスタッフ逃散と言う事態が発生したり、そうでなくとも現場のモチベーションが底を打って開店休業状態になったりと言うことになるわけですが、幾つかその兆候が伺える記事を紹介してみましょう。
まずはこちら、北の方からの話題です。

母子の救命強化へ 市立札幌病院 NICU15床に /札幌(2009年7月2日北海道新聞)

 市立札幌病院は1日、新生児集中治療室(NICU)を6床増やして15床とし、救急隊や他病院から搬送される危険性の高い妊婦や新生児の受け入れ態勢を強化した。

専門医は5人体制のままだが、増床分の新生児に対応するため看護師を19人から31人に増員した。

 同病院では昨年度、母子153人の受け入れ依頼に対して、「NICU満床」「産科満床」などを理由に35人を受け入れられなかった。今回の増床により、年間の受け入れ目標数を現行の118人から約2割引き上げ、140人とする。同病院は「危険性の高い母子の受け入れを増やし救命につなげたい」としている。

 2007年に未熟児が同病院を含む7病院に受け入れを断られ、後に死亡した問題を受け、同病院が態勢強化を進めていた。(高橋尚哉)

医師5人でNICUが15床に増床、当然ながら24時間365日稼働の体制ですから常に最低一人は医師が張り付いているわけで、その上日中は複数の医師がいることになるでしょうね。
さて、そうなりますと勤務シフトというものをどう組んでいるのかが非常に興味深いんですが、さらにここに重症症例をもっと沢山受け入れなさいよなんてことを言っているんだそうです。
これはもうどう考えてもフラグ立ってる?と思えるような話なんですが、さて今後の展開がどうなってくるのか続報が楽しみですよね。
一方でこちら南の方ではこんな話題が出ているようですが、これも良くある光景と言えばその通りですよね。

北九州市 市立4病院 赤字27億円 08年度決算 想定の3倍 若松、経営見直しも /福岡(2009年6月30日西日本新聞)

 北九州市立4病院の2008年度事業会計決算で、単年度実質収支の赤字額が当初見込みの3倍強の約27億円に膨れる見通しであることが29日、分かった。入院費などの医業収益が想定比で20億円規模のマイナスとなった。特に経営が良くないのは若松病院(同市若松区)といい、同病院は売却や民間委託を含めた抜本的な経営形態の見直しが必至の状況となった。

 市によると、若松病院と医療センター(小倉北区)、八幡病院(八幡東区)、門司病院(門司区)の市立4病院の会計は、08年度当初予算で約8億2000万円の赤字を見込んでいた。

 しかし、若松病院で昨年6月までに内科医6人全員が大学医局に引き揚げて大幅な減収に陥ったほか、黒字を維持していた医療センターと八幡病院も医師不足や効率の悪い病床運用で外来と入院の患者数が前年度比で1割以上減って赤字転落の見通し。赤字幅は想定以上に拡大し、07年度の剰余金(約15億円)を充てても、なお約12億円の資金不足に陥る見通しになったという。

 市は破綻(はたん)回避のため、金融機関などから一時借入金を充当。「このまま何の対策も講じなければ、雪だるま式に借金が増える恐れがある」(市幹部)として、経営形態の見直しが避けられない情勢だ。(略)

北九州市立医療センター:入院収入が減少、市議会委で報告 /福岡(2009年7月3日毎日新聞)

 ◇空き病床、有効利用を

 北九州市は2日、市議会保健病院委員会で、市立医療センター(小倉北区)の経営状況を明らかにした。みずほ情報総研(東京都)の分析で、入院を待つ患者が多い一方で病床稼働率は低く、入院収入が減少している現状が浮き彫りになった。空き病床の有効利用など入院患者数の増加に向けた改善案も指摘。市病院局は「有益な改善案は早く実施したい」としている。【松田栄二郎】

 市病院局によると、同医療センターは常時200~250人が入院待ちの状態。しかし07年度の病床稼働率は79・8%で、同規模の石川県立中央病院(82・3%)や横浜市立市民病院(88・1%)より低い。平均在院日数は入院患者1人あたり19・3日と長いため1日平均の入院費が低く、入院収入は2病院を下回る。昨年度は医師不足などで患者数が伸び悩み、約5億円の赤字となる見通し。

 報告書は、病室の空き状況を把握し割り振る担当者の配置や、地域の医療機関と積極的に情報交換し受け入れ患者を増やすことなどを提案。さらに在院日数を短縮するため手術後の転院や在宅医療の支援のほか、薬品や医療材料の購入から管理・運搬のすべてを民間委託する案も示した。

 医療センターは4月、病床の空き状況を管理する病床管理専任看護師を配置している。

市立病院の赤字がかさんでいる、見てみるとベッドの空きが多いし新患受け入れも少ないようだ、それじゃもっともっと患者も紹介してもらってベッドを一杯にしようと言うこの「有益な改善策」を、市当局の方ではコンサルタント会社に経営分析してもらって決めたんだそうです(苦笑)。
空きベッド=非効率な無駄という単純な図式しか描けないと確かにこういう話になってくるんでしょうが、その背後にあるものを果たして検討してみたんでしょうかね?
しかしどんどん医者が減って人手不足が深刻化した結果病院が回ってないのにさらに回転あげろ、客を集めろですか…これはいよいよフラグ立っちゃったかなと思わざるを得ない話ですよね。

地方の自治体病院もさることながら、もう少し話が大きくなりそうなのがこちらの話です。
社保・年金病院も以前から不採算なところはどんどん潰すとか、いややっぱり続けることにしようとか方針が迷走しているように見えるところなのですが、何やら妙な話になっているようですね。

譲渡先、自治体などに限定=社保・年金病院、地域医療の維持優先-厚労省検討(2009年7月9日時事ドットコム)

 厚生労働省は8日、全国63の社会保険病院と厚生年金病院の売却に関し、買い手が見つからなかった場合も地域医療の崩壊を防ぐ観点から存続を認め、自治体や公的な病院を経営する法人に限定して譲渡を進めていく方向で検討に入った。併せて価格を重視する売却方針も転換し、相手先の財政事情に応じて柔軟に対応する。病院によっては不動産鑑定評価額を下回る価格で売却されるケースが出てくる可能性もある。
 特別措置法案をまとめ、今秋の臨時国会に提出する方針だ。

今どきこんな地雷に手を出す自治体なり医療法人なりと言うものがそうそういるとも思えないんですが、ポイントとなるのは「相場無視の安売りもあり得る」といったあたりなんでしょうかね。
少し前にもかんぽの宿をオリックス(あの高知でボロ儲けしたというオリックスですよ!)に破格値で売却するといった騒ぎがありましたが、ここでも同様の構図が見られるということなのでしょうか。
病院存続のために売ったはずが、気がついたら何か違うものが出来ていたなんてことになるんでしょうかね?

最後に全くの余談なんですが、これも思わず「今どきかよ!(笑)」と突っ込みを入れたくなった話を少しだけ紹介しておきます。
新臨床研修制度が始まってこの方、大学病院での研修と言うものはごく一部の例外を除いて年々志望者が減少してどこの大学も研修医集めに四苦八苦しているという状況です。
それは給料が安くてやることと言えば外の病院ではあり得ないような雑用ばかりとなれば今どき人が集まると考える方がどうかしていますが、ひと頃は大学医局を潰すとか息巻いていた人々も実際潰れかけて見ると色々と不都合があるもんだなどと言いだしているようで、何やら意味不明の政策上の迷走も見られているようですね。

それはともかく、北陸地方にある某大学でも例によって研修医集めに必死の努力を続けているようなのですが、このうたい文句が素晴らしく素敵だとちょっとした話題になっていますので紹介しておきます。
詳細はリンク先を是非とも参照していただきたいのですが、何と言いますかちょっとした感動を呼ぶような名文です!

今こそ大学病院で研修を!(某大学某科研修担当者からのメッセージ)

まあ、その…きっとこういう先生ってすごく熱心で素敵な先生なのかも知れませんが、前半から後半の結論部分へとつながってくるロジックがいささか無理がないかと…
いずれにしても熱心な活動の成果が実って沢山釣れ…もとい、研修医が入ってくれれば言うことはないんだろうと思いますが、気になるのはネット上での噂が必ずしもよろしくない部分もあるらしいということなんですよね。

研修医マッチングについて語ろう(匿名掲示板医者板スレへの書き込み)

まあ今どきはどこでも勧誘に必死ですから、いろいろとすれすれのこともやらなければ追いつかないというのも判るんですけども、やはりノリが一昔前の体育会系医局っぽい感じなんでしょうかね?
せっかく熱心に勧誘活動をやってきているわけですから、誘った方も誘われた方もここで研修して良かったと思えるようなwin-win関係を結べるならそれに越したことはないかなと思うのですが…

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2009年7月 9日 (木)

やはり基本はおさえとかないといけないのでは

先日も少しばかりお伝えしました野党党首の献金絡みの疑惑ですが、おもしろいのでもう少し取り上げてみます。
しかし断片的に流れてくる報道を見ているだけでも、何かずいぶん突っ込み所の多い人だなという印象ですかね。
特に笑ってしまったのがこちらの話なんですが、まずは御本人の言葉から引用してみましょう。

鳩山氏「虚偽記載全く問題ない」  与党の追及に不快感(2009年7月7日47ニュース)

 民主党の鳩山由紀夫代表は7日の記者会見で、政治資金収支報告書の虚偽記載問題にからみ、別の政治団体の経費が「0円」だったのも虚偽ではないかなどと与党から追及されていることについて「全く問題がないのにあえて『疑惑あり』のイメージをつくっている」と厳しく批判した。
(略)
 一方、経理担当者の元秘書が資金管理団体の収支報告書で虚偽記載した動機については、体調が悪く面会できていないことを明らかにし「まだ正確に把握しておらず、推測の域を出ていない」と説明。収支報告書で匿名となる5万円以下の個人献金が毎年数千万円に上ることについては「もともと非開示であり、法的な観点も含め、弁護士が判断する」と述べるにとどめた。

経理担当の元秘書が体調が悪く面会もできないと言うくらいですからよほど重症なのかと思わされるところなんですが、それについてさっそくあちこちで噂が飛び交っているようです。
そこでこれら噂の真相についてガジェット通信さんが突撃してみましたところ…というところなんですが、ここは記事をご覧いただきましょう。

「鳩山由紀夫の秘書が生死の境をさまよい面会謝絶」は事実無根の嘘か(2009年07月07日ガジェット通信)

『2ちゃんねる』やブログで広まっている噂で、鳩山事務所が「秘書は交通事故に遭い、現在生死の境を彷徨っており面会謝絶となっております」とコメントしたという情報がある。この情報はインターネットに掲載されていたもので信憑性が乏しいものであるにもかかわらず、『2ちゃんねる』ではスレッド(掲示板)が作られて多くの書き込みがされるまでに至っている。

つまり、噂が一人歩きしているという状態だ。そして、その噂を鵜呑(うの)みにしている人も数多くいるようである。『2ちゃんねる』やブログ、サイトなどに書かれている秘書・芳賀大輔さんの交通事故情報は以下の通りだ。

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鳩山由紀夫に全責任を押し付けられた、秘書の芳賀大輔さんが二週間以上行方不明になっています。
(これはあくまでネット上の情報で明確なソースはありませんが‥)

1.鳩山事務所 「秘書は現在出張中で連絡が取れません」 (最初に朝日が報じた直後頃)
政治家の秘書なのに?携帯は?連絡が付かないのに秘書?
2.鳩山事務所 「現在、療養の為に入院中です」 (鳩山が「秘書がやった」と言った直後頃)
何処の病院に入院してるの?退院はいつ?連絡が取れなかったんだよね?
どうやって「秘書がやった」ことがわかったの? そして現在…
3.鳩山事務所 「秘書は交通事故に遭い、現在生死の境を彷徨っており面会謝絶となっております」
※『2ちゃんねる』、『故人献金関連情報まとめ』より抜粋して引用
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上記の内容をまとめると、ここ最近、献金問題が取り上げられ、さらに秘書が行方不明になったあげく、最終的には交通事故に遭い生死の境をさまよっているということが書かれている。この情報を読んだ人たちのなかには、思いたくなくても「まずいことを知っているので消されたのでは?」と思っている人も多くいるようだ。

ということで、当編集部は鳩山由紀夫事務所に取材をして秘書・芳賀大輔さんの状況を伺うことにした。本当に行方不明になったあげく、交通事故に遭い面会謝絶の状況なのだろうか?

そのような事実はございませんし、聞いたこともありません。本人はピンビンしておりますし、普通に出勤しております。現在も会議中です」(鳩山由紀夫事務所)

っておい!いいのかそれで!?鳩山氏のコメントとの整合性がとれないんじゃないのか!?>鳩山由紀夫事務所
いやあ、これだけ面白いネタを本当にワイドショーあたりが取り上げないのが不思議で仕方ないと思っているのですが、ようやく言い訳のようにこんな記事が出てきました。
なるほどそう来たかという感じなんですが、そういうシナリオで収めておきたいというのも誰かの意図するところなんでしょうかね。

金持ち鳩山さんの軽い失敗 (2009年7月2日日刊ゲンダイ)

そう思っている選挙民が大半なのに追及しようという自民・公明幹部に逆に有権者の不快感が強まっている

 民主党・鳩山由紀夫代表の故人献金問題は、選挙にどれだけ影響があるのだろう。政権交代を期待する有権者には気がかりな話だ。

 なにしろ、与党の連中がアホみたいに騒いでいるのだ。大島理森、公明党の漆原良夫両国対委員長は、鳩山氏を政治倫理・公選法改正特別委員会に参考人として招致するとか息巻いている。証人喚問なんて声もあった。この問題を追及するために、両党でプロジェクトチームまで立ち上げるというから、異常な興奮ぶりだ。

 しかし、レームダック政権の悪あがきに見える。政治資金収支報告書の虚偽記載といえば、二階経産相、与謝野財務相でも発覚。こちらは企業献金隠しだ。鳩山を証人喚問するなら、自分たちの大臣も呼んだ方がいい。

 鳩山のケースが正しいとは言わないが、虚偽記載の背景に大きな疑惑があるとも思えない。

大金持ちの鳩山は違法な金を集める必要がないのだ。06年公開の「資産等報告書」によれば、鳩山代表の個人資産は16億5591万円。全議員でトップだ。株の配当だけで年間6000万円もある。さらに母の安子さんの名義になっている東京・音羽の「鳩山御殿」は土地の評価額が約50億円。96年の旧民主党結成にあたっては、党に8億円をポンと融資している。4年間で2177万円の虚偽記載の裏を探って、証人喚問だとか騒いでも、おそらく何も出てこない。菅選対副委員長は「脱税も予測される」とか息巻いていたが、噴き出してしまう。政治アナリストの伊藤惇夫氏が言う。

「人事も失敗し、敵失に頼るしかない自民党にとって、鳩山代表の献金問題は、唯一の攻撃材料。クリーンなイメージが強い鳩山代表の金銭スキャンダルが盛り上がれば、大ダメージになると踏んで、ここに活路を見いだすしかないのです。もっとも、“自民党だって同じじゃないか”と、冷めた目で見ている国民が多いと思いますけどね」

 自民党の鳩山叩きは逆効果。かえって反感を買いそうだ。そこが分かっていないところが、末期的なのである。

まあしかし、ここまで言われるとかえって鳩山氏にとっても失礼なのではないかという気もしないでもないところなんですが…
それでも何であれ世間の眼が厳しい時ほど擁護してくれる味方が登場してくると言うのはありがたいことで、日頃の人徳というものが忍ばれるところではあるのですが、こちらNHKの問題に関しましても擁護してくれる強力な味方が登場しているようです。

NHKへの“偏向批判”、市民団体が「動揺しないで」(2009年7月7日読売新聞)

 日本の台湾統治を扱ったNHKの番組を巡り、日台友好団体などが「自虐的な歴史観で、偏向している」と抗議している問題で、市民団体「開かれたNHKをめざす全国連絡会」(世話人=松田浩・元立命館大教授ら)は7日、NHKに対し、「不当な圧力に動揺せず、毅然(きぜん)とした姿勢を貫いてほしい」などと求める要望書を提出した。

 この番組は、今年4月に放送されたNHKスペシャル「シリーズ JAPANデビュー」の第1回「アジアの“一等国 ”」。要望書では、抗議団体によるデモや集団訴訟を「威嚇的な動き」と批判番組に批判的な政治家やNHK経営委員の言動についても、「『放送の自由』への政治的圧力」と指摘している。

ちなみに唐突に名前が出てきたこの「開かれたNHKをめざす全国連絡会」なる市民団体なんですが、こちら「メールマガジン日台共栄」に幾らか情報が出ているようです。
これが事実だとすると、なかなかに興味深い話ではあるかなという感じなんですけれども、まずはそのまま引用させていただきましょう。

【メルマガ日台共栄:第1081号】(2009年7月8日配信記事)より抜粋

 この「開かれたNHKをめざす全国連絡会」とは聞き慣れない団体名だが、元々は「開かれたNHK経営委員会をめざす会」(代表世話人:松田浩・元立命館大学教授、桂敬一・立正大学文学部講師、野中章弘・アジアプレスインターナショナル代表)が母体のようだ。

 そのホームページでは「4人のNHK経営委員が選任・再任を迎える昨年12月に向け」「昨年9月から『NHK経営委員の公募・推薦制と古森重隆氏の不再任を求める申し入れ』の署名活動を始め」たようで、「署名運動の最終集計は、『NHK経営委員の公募・推薦制と古森重隆氏の不再任を求める』署名が15023筆、桂敬一・湯山哲守NHK経営委員候補への推薦賛同署名は、2061筆(日本ジャーナリスト会議集計分を含む)に達しました」と記している。

 産経新聞ワシントン駐在編集特別委員の古森義久氏が「正論」8月号で指摘していることでもあるが、当時、「NHKは外国向けの放送では日本の国益を一切、主張しないという」立場だったが、NHK経営委員長だった古森重隆氏(富士フィルムホールディングス社長)は「『日本の公共放送が諸外国と利害の対立する問題について日本の国益を主張することは当然だ』と強調し、国際放送番組基準では少なくとも日本国憲法を指針とすべきだと提案した」という。

 古森義久氏は、まさか「NHKの『日本否定傾向』がそこまでだとは知らず、この古森委員長の指摘にびっくり」し、自分の記事などで「公共放送が対外的には国益を意識し、擁護するのは当然の責務だと主張した」と書いている。

 つまり、古森委員長の提案に反対して不再任を求め、新たに自分たちの仲間を経営委員にしようと目論んで署名活動を展開したのが「開かれたNHK経営委員会をめざす会」であり、日本否定派ということだ。なるほど、松田浩氏のインタビューが日本共産党の機関紙「あかはた」に掲載される理由も、これでよく分かるではないか。だから、経営委員会で「日台戦争」などというのは事実ではないから放送法違反だと主張した弁護士の小林英明委員にも抗議文書を出したのであろう。

 いずれにしても、左翼勢力は「開かれたNHK」をスローガンに、NHKに人を送り込んで内部から牛耳ろうとしていることだけは明白だ。その団体の要望書である。福地茂雄会長としては、痛し痒しというところだろう。    

上記文中にあります「4人のNHK経営委員が選任・再任を迎える昨年12月に向け」「昨年9月から『NHK経営委員の公募・推薦制と古森重隆氏の不再任を求める申し入れ』の署名活動を始め」云々につきましては、こちらに経緯が書いてあるようですのでご参照ください。
同会の推薦するところの桂敬一氏の経営委員候補となるにあたっての所信表明でありますとか、記事中にもあります松田浩氏の赤旗紙上に掲載されたインタビューの内容からすると、何となく同会の方向性や背後関係については見えてくる感じでしょうかね。

その問題もそれとして、NHKといえばこちらの話もなかなかのケッサクです。
現場の話を知らない人はなにげに見過ごしているかも知れない話なのですが、まずはNHKの元記事の方から引用させていただきましょう。

薬投与後に診断し検査の疑い(2009年7月2日NHKニュース)

奈良県大和郡山市の病院をめぐる診療報酬の不正受給事件で、逮捕された病院の理事長は、患者に心拍数を上げる薬を投与するなどしたうえで、狭心症や不整脈と診断し、診療報酬が高額な心臓の検査に同意させていた疑いのあることが病院関係者への取材でわかりました。

この事件は、奈良県大和郡山市にある雄山会山本病院の理事長、山本文夫容疑者(51)ら2人が患者に手術をしたように装い、診療報酬およそ170万円をだまし取ったとして詐欺の疑いで逮捕されたものです。これまでの調べで、山本理事長は、入院患者に対して症状に関係なく診療報酬が高額な心臓の異常を調べるカテーテル検査を行っていたことがわかっています。病院関係者によりますと、山本理事長は、患者に対し心拍数をあげる薬を投与したりルームランナーのような装置の上を走らせたりしたうえで、心電図をとって狭心症や不整脈などと診断し患者から検査の同意を取り付けていたということです。警察もこうした内容を把握していて、山本理事長が、診療報酬目的に必要のない検査を患者に繰り返していたとみて調べています。

記事中の病院は最近不正請求だとかの話題で大騒ぎになったところですが、注目していただきたいのはこの記事そのものです。
循環器診療における検査の何たるかを知っている人なら一読して「ん…?」な話なんですが、お分かりになるでしょうか。
これが某所でもさんざん話題(と言いますか、笑いものと言うべきでしょうか)になりましたNHKの報道なのですが、これに対するロハスさんの突っ込みがこちらです。

負荷心電図というものがある:警察とNHKは知らない(2009年7月2日ロハス・メディカル ブログ)
より抜粋

「…患者に対し心拍数をあげる薬を投与したりルームランナーのような装置の上を走らせたりしたうえで、心電図をとって狭心症や不整脈などと診断し患者から検査の同意を取り付けていたということです。…」

 この検査を負荷心電図と言い、日常、多くの医療機関で普通に行われています。不正でも何でもありません。

 こんなことは医師免許を持っていれば専門外であっても当然に知っておくべき知識で、現場経験の有無の問題どころか、医学部の学生でも知っている程度のレベルの低い誤解です。

 ところが、この報道に関係した警察官とNHK記者は知らないだけでなく、医者に聞いてみるという当然の手続きを端折っているようです。

 今日、このニュースを視聴した患者さん達は、明日から医者や医療機関に深刻な疑念を抱きながら負荷心電図の検査を受けることになるでしょう。

【追記有り】

 NHKは「警察発表を報道しただけ」と主張することでしょうが、事実関係を確認するというジャーナリストとしての義務を放棄していると考えます。

 また、警察の鑑定人として捜査に協力している医師は、この報道発表を知らないか、知っていてもそのまま報道させたということになります。前者であれば警察官の怠慢であり、後者であればその医師の知識水準と善意に深い疑念を抱かずにいられない事態です。

これだけでもすでに相当恥ずかしい話なのですが、なんと更なるネタまで提供してくださるとはさすが太っ腹のNHKといったところでしょうか。
こちらもまず元となった報道の方から紹介しておきましょう。

病院 うその死亡診断書作成か(2009年7月2日NHKニュース)

奈良県大和郡山市の病院をめぐる診療報酬の不正受給事件で、この病院が心臓の検査の最中に出血して死亡した患者について、病室で体調が悪化して死亡したように、うその記載をした死亡診断書を作った疑いがあることが、関係者への取材でわかりました。

診療報酬を不正に受け取ったとして、1日、詐欺の疑いで逮捕された雄山会山本病院の理事長、山本文夫容疑者(51)と事務長の大杉龍太郎容疑者(57)は、2日午後、身柄を奈良地方検察庁に送られました。警察の捜査などで、山本病院では、患者に必要のない検査が行われていたとみられていますが、複数の関係者の話から、検査の最中に死亡した入院患者の死亡診断書に、うその記載がされた疑いがあることが新たにわかりました。この患者は、生活保護を受けていた64歳の男性で、ことし1月、手術室でカテーテルを使った心臓の検査を受けている最中に出血して死亡しましたが、病院は、死亡診断書に、男性が病室で体調が悪化して死亡したという記載をしたということです。この検査には、山本理事長も立ち会っていたということです。警察は、病院での診療の実態について捜査を進めていて、今後、この男性患者の診断書が作られた経緯についても調べるものとみられます。

同じく記事自体に注目いただきたいところなのですが、おわかりになったでしょうか?
何か学生向けの試験問題で「次の文中であり得ない部分を指摘せよ」なんて問題が出来そうな感じの記事なんですが、これもロハスさんの突っ込みを引用させていただきましょう。

死亡診断書の書式:NHK記者は見たことがないのか?(2009年7月4日ロハス・メディカル ブログ)

「…手術室でカテーテルを使った心臓の検査を受けている最中に出血して死亡しましたが、病院は、死亡診断書に、男性が病室で体調が悪化して死亡したという記載をしたということです。…」

 医者でも死亡診断書を書いたことがない人は珍しいだろうと思います。一度でも書いた人であれば、院内の死亡場所を手術室やカテ室や検査室なのか、あるいは病室なのかを記載することは通常しないということはすぐに分かるでしょう。

[PDF]死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル 厚生労働省大臣官房統計情報部・医政局
http://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/dl/manual.pdf

 当然に死因は記載しますが、死亡した部屋の種別まで記載するということはそもそも不自然なのです。死亡場所の記載は、医療機関の場合はその所在地までなのです。部屋まで書くということは異常事態です。病死及び自然死の場合は通常行われません。

 記事文面からはNHKの独自取材であった様子が伺われます。しかし、やはり医者に聞いてみるという手続きが行われたのかどうかが疑わしい記事です。

 また、こんなことは医師免許を持っていれば、本来は当然に知っておくべき知識で、死亡診断書を書いた経験の有無の問題どころか、医学部の学生でも教わっている程度のレベルの低い誤解です。

 ところが、この報道に関係したNHK記者は知らないだけでなく、医者に聞いてみるという当然の手続きを端折っているようです。

 このニュースを視聴した国民の皆さんは、病室の種別の書かれていない死亡診断書を手渡されたとき、医者や医療機関に深刻な疑念を抱くことになるでしょう。

 この記事を書いたNHKの記者は、事実関係を確認するというジャーナリストとしての義務を放棄していると考えます。

先の台湾問題ではNHKもずいぶんと根拠を挙げて報道には何も問題がないと主張していたようですが、失礼ながら平素からのこういう身近な実例というものを目の当たりにしますと「あ、こういうレベルの仕事をしている人たちなのね」と誤解してしまう国民も多くなってしまうのではないでしょうか?
何しろ日本を代表する表看板のような巨大メディアなのですから、国外に向けて胸を張って顔向けできるような立派な仕事をしていただきたいと一国民として切に願うものであります。

もっとも当ブログ管理人といたしましては、こうして日々素敵なネタを提供してくださるNHKさんも大歓迎なんですけれども(笑)。

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2009年7月 8日 (水)

産科絡みの最近の話題 不景気の最中に厳しい話が多いようですが

というわけなんですが、先日も少しばかり紹介しました妊婦健診の公費補助の話とも絡めて、本日まずはこちらの記事から紹介してみましょう。
しかしこれ、控えめに言っても誇大広告とも言うべき話じゃないかと思うのですが、もっと妊婦の皆さんは文句を言ってしかるべきなんじゃないでしょうかね?

妊婦健診無料じゃない? 産科医ら火消し躍起(2009年7月2日産経新聞)

 少子化対策の目玉として昨年秋に打ち上げられた「妊婦健診の無料化」。緊急経済対策に盛り込まれてスタートしたが、多くの地域で“無料”にはなっていないようだ。妊娠中の女性からは「無料だという話だったのに、違うの?」と、落胆の声が上がり、産科医らは「あの『妊婦健診無料化』という表現だけは、やめてほしい」と火消しに躍起になっている。(佐藤好美)

 東京都内に勤務する会社員、小山内香さん(34)=仮名=は妊娠8カ月。出産予定の病院で2週間に1度、妊婦健診を受けるが、その費用に納得できない。

 「受診した過去6回のうち、2回は1万円以上。それ以外も6000円とか、安くても3000円くらい。昨年から、政治家も、ネットの識者も『14回無料化』って断言していたから、てっきり無料になるとばかり思っていたのに。助成額はどこへ行ってしまったんでしょうか」

 小山内さんの受診先は、国立病院機構の病院(旧国立病院)。出産費用は40万円程度で、地域の“相場”より安く、健診費だけ高いとも思えない。「私の検査費が人より余計にかかるのか、一体どうなっているんでしょうか」

 納得できない小山内さんは自治体に助成の詳細を問い合わせた。回答によると、この自治体の助成額は14回合計で約9万円。「助成額を超えた分は、自己負担をしていただいています」と聞いて、ガックリした。
(略)
 選挙を控え、政治家の街頭演説では、いまだに「妊婦健診無料化」の言葉が出る。しかし、ある産婦人科医は「助成拡大はありがたいが、あの『無料化』という表現だけは、やめてほしい」と漏らす。多くの地域で妊婦健診は無料にはなっておらず、そもそも無料化は難しいからだ。

 別の自治体の保健師も「母子手帳を取りにいらした妊婦さん一人一人に、助成の仕組みを説明して、無料でないことをご理解頂いています」と、誤解の払拭(ふっしょく)に努める。

 妊婦健診への助成は従来、5回分計5万円程度だったが、昨年の緊急経済対策で14回分11万3000円程度に拡大された。若い夫婦には、「1回あたり数千円」の健診費負担は大きく、未受診で飛び込み出産する妊婦は産科の悩みの種だったからだ。

 しかし、助成は拡大されても、多くの地域で無料にはなっていないようだ。理由は複数ある。第1に助成範囲が限られていること。対象は血液検査3回、超音波検査4回、子宮頸(けい)がん検査などを含む「標準的に必要な」検査14回分。主治医によっては、これで収まらないケースも多い。

 ある産婦人科医は「超音波検査を毎回行う先生もいる。負担は生じるが、しないと、妊婦さんから『手抜きじゃないか』と言われることもあり、やめるのも難しい」と漏らす。

 第2に、妊婦健診は本来、自由診療だから値段が一律でない。医療機関によって健診内容やサービスも違えば、同じ検査で費用が違うこともある。助成で窓口負担が一律ゼロになるとはかぎらない。

 さらに、最大の理由は自治体の助成額がまちまちなこと。厚生労働省によると、都道府県平均の公費負担額は表の通りで、全国平均は8万5759円。全国最低の大阪府守口市(1万2500円)と、最高の北海道初山別(しょさんべつ)村(15万円)とでは13万円超の違いが出た。

 国が担保した妊婦健診の費用は「14回分で1人当たり11万3000円相当」(厚労省母子保健課)で、地方交付税交付金と補助金を充てた。しかし、地方交付税交付金の使途は自治体の裁量に任される。税収が逼迫(ひっぱく)し、すべてが健診費に回らなかったり、予算が十分取れなかったりした自治体もあるようだ。

 加えて、国の助成が2年間の時限措置なのも、自治体に二の足を踏ませる要因。自治体によれば、「後のことが分からないまま、多額の公費助成をして、2年後にはしごを外されてはたまらない」というわけだ。(略)

このあたりの経緯については前回にも取り上げましたが、二年後と言わずすでに現在進行形でこれだけの問題が噴出していることを見ても、政治家達が目先の耳障りの良い思いつきで適当なことをやっていると非難されても仕方のないところかとも思うわけですが…
これだけでもショックなところにさらに全国の妊婦さんには頭の痛い話でしょうが、こんな話も出ているようなんですよね。

約4割の産科施設、今年度中に出産費用増額を予定―厚労省研究班(2009年6月22日ロハス・メディカル)

 厚生労働省の研究班(可世木成明・日本産婦人科医会理事代表)の調査に答えた分娩を取り扱う施設のうち、約4割を占める703施設が今年度中に出産費用を増額する予定であることが分かった。(熊田梨恵)

 1月に分娩を扱う全国の病院と診療所2886施設を対象に調査し、1707施設から回答を得た。

 分娩費用を今後増額する予定と答えた施設は892施設と過半数。全体の41%に当たる703施設が2009年度中に分娩費用を増額する予定と答えた。
(略) 
 分娩費用を増額する理由(複数回答)は、「医療安全の維持・向上」が33.3%と最多で、「医師・スタッフのQOLを改善し、離職を防止」が30.6%、「産科医療補償制度に加入したため」「診療機器・施設等の充実」が各29.8%など。

 全国の出産費用の平均額は約42万4千円だった一方、病院側が求める「適正」な分娩費用の平均総額は約53万4956円。「現在の分娩費用にすべての要素(人件費、検査費用など直接経費、医師賠償責任保険など間接経費)が含まれているか」との問いに対し、60.7%の施設が「含まれていない」と回答した。

 分娩費用を増額できない理由には、「地域住民の所得が低い」22.0%、「近隣の私的同業施設と競合している」20.3%、「近隣に市議会等の意向で分娩入院費用が安い公立中核病院がある」15.1%、などが上がった。

 分娩費用1件当たり平均額を設置主体別に見ると、「都道府県立」が約37万2千円と最も低く、「市町村立」約38万7千円、「厚生連」約41万2千円、「社会保険」約42万千円と続く。最も高い「大学病院」は約47万9千円だった。
(略)
 研究班は記者会見で、「地方の公的病院が分娩費を非常に安く据え置いてきており、現在の医療崩壊の基礎になってきた」との見解を示した。また、「採算を度外視した病院が多く、しかもそれらは地域の中核病院。都道府県立や市町村立の分娩費用が低額であることが明らかになり、近隣医療機関への影響が大きい」と、産科診療所などに与える影響を示唆した。
 公立病院の分娩費用が他の設置主体に比べて低額になることについて、「公立病院の分娩費用は市議会などで決まるため、病院独自で決められないのが問題」と、分娩費用を安く抑えることが市議の住民に対するアピールになっているとした。平均額が最も高かった大学病院については、「あまりにも安いと考えている。お産の時に出て行ってそこだけで処理するのではなく、安全を担保するためによる当直をしたりしているが、その対価が全く考慮されていない」と述べた。

 また、研究班は「地域住民の所得水準」が分娩費用に大きな影響を与えていると分析。
(略)
 研究班は、医師数や産科病床数、分娩数などは分娩費用総額と相関せず、「地域住民の所得水準」と「分娩費用が安い公立病院がある」に相関性があるとした。その上で、「安全を提供するシステムに差はないはず。地方を活性化させるためにも、都市部と同等の費用が望ましい」と主張。現在の周産期医療の危機的状況を打開するには分娩費用の増額が求められると要望した。

お産に限ったことではありませんが、求められる標準的な医療水準というものが年々向上してきており、当然ながらそれに必要な経費が上がる一方であるのに対し、医療の質的な担保というものが更に厳しく求められている昨今の世情においては、一昔前にあったような「薄利多売」方式も成立しがたいという状況にあります。
妊婦さんにすれば一人一人の分娩の扱いが丁寧になったということであれば喜ばしいことですが、経営的に考えるなら顧客の数が減り一人当たりの経費支出は増え、一方で平均単価が上がらないとなればどう見ても厳しくなるのは当然ですよね。
現在の医療レベルで求められる水準で経費を積み上げていくと37万円などということにはならないはずですが、記事中にもありますようにここでも市民の票を期待する政治家というものが医療の実態を歪めてしまっているということでしょうか。
結局その歪みが回り回って当の市民に返ってくるのだと考えれば、一体これは選良として誰のために何をやっているのかと思うような話ではありますよね。

お産というのは病気ではないということで保険診療外の自由診療扱いですが、今まで何となく横並びの価格設定でやってきた医療の側にも問題はなしとしません。
医療の安全にかかるコストに関してはきっちりと算出した上で正当なコストに対しては受益者に応分の負担をいただくのが筋でしょうし、その上でコスト負担が無理だという人々に対しては安全を削っても負担を減らすというプランを提示するとか、公的に何らかの補助をしていくことを求めるとか言うことであれば話は判ります。
しかし近所の公立病院が安売りしているからうちも赤字価格でやりましょうということでは何ら主体性や正当性がないばかりか、その分の収支をどこかで埋め合わせているということであれば不要の検査なり処置なりでもやっているのかと要らぬ疑惑も招きかねないですよね。
安くもない上に一生にそう何度もないイベントだけに、お産費用は何をするためにどれだけのコストがかかっています、そのエヴィデンスはこれですと明細をはっきり示してもらった方が妊婦さんの方でも安心するのではないかと思うのですが、まだまだこのあたりの顧客対応に関して医療業界は他業界の水準に遠いかなという気もしています。

さて、産科絡みの話題として産科無過失補償制度については以前にも何度かその問題点を取り上げてきたところです。
とりわけ以前から保険料が余った場合にどうするのかといった下世話な話で盛り上がっていて、これについては保険会社の儲けになるとか、強制加入のくせに儲けを出すのかとか紛糾していましたが、最終的なところではこんな話に落ち着いたとのことです。

対象者300人未満で保険会社に利益-産科補償制度(2009年6月30日CBニュース)

 日本医療機能評価機構は、「産科医療補償制度」に剰余金が生じた場合、保険会社が運営組織に返還する仕組みの骨格を固めた。補償対象者が年300人以上の場合、保険会社は、掛け金の総額から経費を引いた「補償原資」から、20年分の補償金支払いの必要額を差し引いた全額を返還する。補償対象が「300人を下回る場合」には、補償原資のうち300人分の保険金を超える部分を全額返還し、差額分を保険会社が取得する。

医学的視点による公平な審査を-産科補償審査委が初会合
 返還された剰余金の使途は制度の運営などに限定するが、具体的な対応は実際の剰余額を踏まえて議論する。また、逆に欠損が生じた場合には、決算見込み以降の保険契約で、保険料の引き上げなどを検討する。

 今年1月からスタートした産科医療補償制度は、分娩に関連して発症した重度脳性まひ児に対し、看護や介護のための補償金として総額3000万円が支払われる仕組み。一分娩当たり3万円の掛け金(保険料)が必要になり、同機構では年500-800人程度が補償対象になるとみている。補償対象者数が予測を下回る場合は剰余が生じ、逆に上回れば欠損が生じることになる。

 制度運営で生じた剰余金の取り扱いについては6月15日の運営委員会で話し合い、機構側は当初、補償の対象が見込み下限値(500人)の半分に当たる「250人を下回る場合」に、補償原資と250人分の保険金額の差額を返還する案を提示していた。

 しかし、委員から保険会社が利益を得にくいことを指摘する意見があり、今回、「300人を下回る場合」に改めた。同機構では「補償対象が300人を下回ることはまずないと見込んでいる。(保険会社には)公的な制度としての色合いが強いことを理解して、ご協力いただきたい」と話している。

保険会社も適正な利益を出していかなければ会社が続きませんから、良い具合の落としどころというものが見つかればいいわけですが、このあたりは実際にどれくらいの数になるものかはっきりするまで何とも言えませんかね。
ただ脳性麻痺の発生数が年間3000人とされている現状で、実際に対象者が300人そこそこを巡るような数となるのであれば、これは明らかに補償制度として過少過ぎるという批判は出るでしょう。

結局のところこの制度、補償対象の認定と言う部分で大いに荒れそうな予感が大なのですが、補償対象から漏れた方々の批判の向く先が取り上げた産科医に向くのか、それとも審査委に向くのかといったあたりにもどうしても注目せざるを得ないところです。
その意味では以前にも書きました通り症例を検証して出すところの報告書の書式がどうもはっきり見えてこないと言う話が気になるところなんですが、いったん始まってしまうと矢継ぎ早に申請が出てきそうなだけにもしかすると大騒ぎになるかも知れないですね。
少なくとも申請しながら補償の対象から漏れたという方々にとっては納得のいく報告書を出してもらわなければ心情的にも収まりがつかないだろうとは思われるところですが、医者という手合いはこの種のプレゼンテーション能力に欠けている人間が結構多いものですから、またぞろ余計な火種になりはしないかと相当に不安ですが…

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2009年7月 7日 (火)

非常識って、自慢できるようなことじゃないですよね

先頃舛添厚労相がこんなことを言ったと報道され、新聞等で目にされた方も多いのではないでしょうか。

「労働法、守られないのは日本だけ」舛添厚労相が嘆き節(2009年7月2日朝日新聞)

 舛添厚生労働相は2日、政策要望に訪れた連合の内藤純朗副会長らとの会談で、「日本では労働法が順守されていない」と嘆いた。労働法が守られているか監視するのは労働基準監督署を抱える厚労省の重要な仕事だが、「連合の大きな目標として、労働法を国民に意識させて」と逆注文する場面もあった。

 舛添氏は労働法の現状について、「スピード違反は捕まるからみんな順守する。労働はもっと大事なのに、労働基準法も(労働者)派遣法も、みんな目をつぶっている部分が相当ある」と述べた。

 労働法軽視の背景には旧労働省の力不足があったとした上で、「最大官庁の厚労省になり、前みたいに弱くなくなった」と自賛。労働法の定着に向け、連合にも組織率の向上などの努力を呼びかけた。

 会談で連合側は、09年度補正予算に盛り込まれた職業訓練中の生活費給付制度の恒久化や、最低賃金の引き上げなどを求めた。(江渕崇)

いや嘆き節って、あのですね、労基法を守らせるのが所轄官庁であるあなた達の大事な仕事であって、「僕たちこんなに仕事さぼってま~す」なんて自慢げに公言してしまっていいようなものじゃないんですけど(苦笑)。
厚労省のトップたる御方にこういう他人事の態度を取られると、それは現場の当事者達も「あ、そんなもんなんだ。なんだ適当にやっとこう」とみんな目をつぶっている部分が相当出てくるのもやむなきところかなとも感じられるのは気のせいでしょうか?
厚労省というところは以前からデータ捏造で「医者の労働時間なんて大したことないですよ」なんてことを言ってみたり、「院内拘束時間は勤務時間ではないんです」などと省の通達と異なる見解を大臣が答弁してみたりと、かねて含むところでもあるのかとも思えるようなことをやってきた役所という印象があるのですが、この機会に多少なりとも本業に精出すようになってもらいたいものです。

しかしながらもちろん、21世紀にも入って仮にも文明国において法律すら無視するというような暴挙がまかり通って良いはずがないわけであって、お上が頼りにならないのであれば現場の方から改善を図っていくしかありません。
例えば最近とみに政治力発揮が著しいとも噂される看護系団体も歩調を合わせるかのようにこんなことを言っているようです。

労働関連法順守へ適切な指導を―日看協(2009年7月3日CBニュース)

 日本看護協会は7月2日、看護職の労働環境の改善のため、医療機関などが労働関連法令を順守するよう適切な指導を行うことを求める要望書を厚生労働省に提出した。

 要望書は、同協会が昨年に実施した「時間外勤務、夜勤・交代制勤務等緊急実態調査」で、交代制で夜勤に従事する23人に1人が月60時間を超える時間外勤務をしていることや、未払い残業など労働基準法違反が強く疑われる実態が明らかになったと強調。
 その上で、保健・医療・福祉分野の従事者の労働時間管理の適正化は、これらの従事者の確保・定着だけでなく、「国民に安全で質の高いサービスを提供するためにも不可欠」として、保健医療関係事業所での労働基準法順守の徹底について実効力のある指導・監督の推進を求めた

 具体的には、▽保健・医療・福祉関係事業所への調査に基づく適切な指導・監督の推進▽労働基準監督署による改善指導の対象となった事業所への改善状況の確認など、実効ある指導▽都道府県労働局や各労働基準監督署と、管内の保健医療事業主、経営者団体、看護協会などの専門職能団体が連携した、関係法令の順守や実態改善に向けた説明会・研修会などの開催▽労働時間管理の改善事例・好事例の収集と提供―を求めている。

業界団体としてはこういう自業界の利益のために動いてナンボですから、当然のこととして強力に権利擁護を主張していかなければならないはずなのですが、以前から書いてきましたように「労働基準法?何それ食べられるの?」状態の医者稼業においては対照的に何とも面白い現象が見られています。
天は自ら助くる者を助くなんて言葉がありますが、全医連の言うところの「医療現場での違法な労働環境が長年放置されている事は、 世間一般に報じられないことはもとより、 医療界内部ですら問題として取り上げられてきませんでした」という不思議な現象が慣例化していたわけですね。

例えば以前にも取り上げました産科医・田村正明氏は、新聞記事中でこんなことを言っています。

 このころ、僕らに労働時間のアンケートがありました。労働時間超過を疑われたためです。改めて考えると、自分がすごい長時間、病院にいることに気づきました。でも、僕らはそれが普通のことだと思っていました。僕は途中まで記入したのですが、はたと思いました。このアンケートを真剣に記入して提出したら産科が立ち行かなくなると。ちょうど他科でも労働時間が問題になっていて、労基署による家宅捜索がありました。結局、僕らはアンケートを提出しませんでした。

あるいはせっかく「医師の過酷な労働環境!これが医療崩壊の原因だ!」なんて報道があっても、当事者である医師や医師団体にコメントを取りに行くと「しかし労基法を守っていたら医療は立ちゆかなくなるんですよ」なんてことを公然と口にしてしまう。
要するに医師の労働環境を改善するための最大の抵抗勢力こそが当の医師達であるという、何とも摩訶不思議な構図が成立してしまっているわけです。
労働者として何かそれっておかしいんじゃないの?という感覚を持っていないこと自体がおかしいわけですが、まずこのあたりの世間の常識から解離した感覚を是正していかないと、いつまでたっても「医者の常識は世間の非常識」なんて揶揄されることになってしまうのではないでしょうかね。

最近はようやくネットなどでの情報交換を通じて多少なりとも意識改革が進み始めている印象ですが、まだまだ国民として当然知っていなければならないことを知らない人間が多すぎるというデータが現実にあるわけなんですね。

消化器外科医、7割が労基法規定知らず(2009年7月 5日ロハス・メディカル)

多くの勤務医が労働基準法違反の時間外勤務や当直勤務を強いられていると問題になっているが、当の勤務医たちは法律の規定を知らないのかもしれない--。そんな実態が消化器外科学会が会員を対象に行ったアンケート調査から浮かび上がった。(川口恭)

 このアンケート調査は、7月16日から開かれる第64回日本消化器外科学会定期学術総会に合わせて、消化器外科医の労働環境を把握する目的で実施された。年齢層や性別を考慮して会員の0.5%にあたる1100人を抽出して無記名式での協力を依頼、うち471人が回答したという。回答者が勤務する先は、一般病院52%、大学病院39%、診療所6%。

 労働基準法に定められた「宿日直」は、現在の医療機関の当直業務とはだいぶ異なる。またその回数は、宿直は週1回まで、日直は月1回までとされており、そうしたものを含めた時間外労働の時間は週15時間以内、月45時間以内、年360時間以内と定められている。

 しかしアンケートによれば、これらの規定を回答者の69%が知らなかった。その裏返しとでも言うべきか、21%が明らかに法律違反となる月に5回以上の当直に従事していると答えた。また当直の翌日は、手術を含む通常勤務を行っているとの回答が94%を占めた。週の労働時間が80時間を超えているとの回答も29%あった。

 それだけ長時間いったい何をしているのかに関しても興味深いデータが出ている。消化器外科医の本来業務ではない「がんの化学療法」「緩和ケア」「救急」に8割以上が従事しており、「麻酔」を担当しているという回答も3割弱あった。麻酔に関しては担当している消化器外科医の93%が、「担当したくない」と答えたという。(略)

社会生活を送る上で当然知っておかなければならないことを知らないこと自体が罪とも言うべきことであって、「知らなかったから法律を守ってませんでした」 は法治国家においては通用しないという当たり前のことを、医者ももう一度再認識しておいた方がいいのではないでしょうか。
今どき自らが世間離れしていることを自慢できるような時代ではありませんし、そんな非常識ぶりでは「患者の心が判らない医者」などと非難されてしまうことにもなりかねないということです。
まずは余り前に向けての意識改革から行っていくなら、お金も何も必要ないわけですしね。

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2009年7月 6日 (月)

医療事故 解決への道程は決して一つに限られてはいない

こういうのは被疑者否認のままということになるのか知れませんが、以前にPFI解除の件で少し書きました近江八幡市民病院に絡んでなかなか興味深い記事がありましたので紹介しておきます。

滋賀、患者死亡で2医師書類送検 病院側は過失否定(2009年6月29日47ニュース)

 滋賀県の近江八幡市民病院(現・近江八幡市立総合医療センター)で2005年、食道静脈瘤除去手術後に患者が死亡し、県警は29日、医療ミスがあったとして、業務上過失致死容疑で手術を担当した39歳と46歳の男性内科医を書類送検した。

 県警によると、2人は容疑を否認し「治療に問題はなかった」と話しているという。

 2人の送検容疑は2005年10月13日、男性患者=当時(69)=への内視鏡を使った食道静脈瘤除去手術で食道内に7~8ミリの傷を付けたのに、手術後、外科医に相談するなど適切な措置をせず、翌14日、傷から漏れた空気で肺を圧迫させ男性を死亡させた疑い。

 同センターは「傷を縫合するなどの処置を行わなかったのは、『消化器内視鏡ガイドライン』に基づいて、自然治癒を促す治療方法をとったから」と説明。「患者は肝臓が悪く、外科的処置にはリスクがあったため、経過を見守る『保存的治療』を選択した」と過失を否定している。

 近江八幡市民病院は06年、民間資本を活用して運営するPFI方式を導入。近江八幡市立総合医療センターとなったが、経営難からPFI契約を解除し、市直営となった。

術後死亡事故で医師2人書類送検 滋賀県警、業過致死容疑(2009年6月29日京都新聞)

 旧近江八幡市民病院(現・同市立総合医療センター)で2005年10月、食道静脈瘤(りゅう)除去手術を受けた同市の無職男性(69)=当時=が手術後に死亡した事故で、近江八幡署などは29日、業務上過失致死の疑いで、当時同病院内科医だった京都府与謝郡の男性医師(39)と同市の男性医師(46)の2人を書類送検した。

 送検容疑は、05年10月13日午後6時半ごろから行った内視鏡手術で、誤って食道に直径7~8ミリの穴を開け、胸部に空気が漏れる症状を引き起こしたことを確認したのに、外科医に相談するなど適切な措置をせず、男性を翌14日午前1時ごろ肺の圧迫による窒息で死亡させた疑い。

 同署の調べによると2人は「症状確認後、抗生物質投与などの治療法を選択したことは問題ない。患者が死亡することは予見できなかった」と容疑を否認している、という。
 近江八幡市の槙系病院事業管理者は「病院内の事故調査委員会で過失や過誤はなかったと判断していたので、送検は残念だ。検察の対応を注視したい」とコメントを発表した。

相変わらず記事だけでは何を言っているのか判らない部分があるのですが、食道静脈瘤の硬化療法を行っていたとすれば、穿刺針で粘膜に傷をつけたか、硬化剤の副作用によって食道に穴があいたということなのでしょうか。
傷を縫合云々という話からすると前者の方なのかなとも思うところですが、時間経過を観ると13日の夕刻という遅い時間帯に処置を始めているということであるいは緊急処置だったのかも知れないですが、翌14日未明には亡くなっていることから緊張性気胸と言うことになるのでしょうか。
「胸部に空気が漏れる症状を引き起こしたことを確認」というのがどういう意味なのかですが、もしレントゲン等で気胸を確認したと言うことであれば「症状確認後、抗生物質投与などの治療法を選択」云々という話と結びつかず、院内調査委員会で過失や過誤はなかったという判断にならないとも思われるところです。
あるいは「傷から漏れた空気で肺を圧迫させ」といった死因も全て警察の推測なのかも知れないという大胆な推測すら成り立つのかなとも思うのですが、結局記事だけからははっきりした状況が判りかねるとしか言いようがないですね。

興味深いのは当の医師二人はともかく、病院当局でも間違いはなかったという態度を示しているらしいことで、公立病院でありながらこうした態度はどうしたことかとも思わされるところです。
実は先日もすこしばかり紹介しました岐阜県総合医療センターの医療訴訟の件でも、公立病院でありながら県側が控訴するという話になっているようなのですね。
一昔前は(今も?)自治体病院での医療訴訟と言えば「病院は一切関知しないからそのつもりで」なんて放置プレーな施設も多々あったとも側聞しますが、これは何かしら風潮の変化と捉えるべき話なのでしょうか?

県立病院医療過誤訴訟:県が控訴 /岐阜(2009年7月4日毎日新聞)

 県総合医療センター(旧県立岐阜病院)で治療を受けた羽島市の男性(59)が、退院後に脳梗塞(こうそく)で倒れて後遺症が残ったのは術後の管理ミスのためとして、県に損害賠償を求めた訴訟について、県は3日、医師の過失を認めた6月18日の岐阜地裁判決を不服として名古屋高裁に控訴したと発表。控訴は6月30日。

 控訴について、同センターの渡辺佐知郎院長は「治療は適正だったと考えており、過失を認めた判決には不服な点がある」と説明した。【宮田正和】

公立病院と言えば患者=地域住民=スポンサーですから、ひと頃は被害者救済最優先ということでどんな判決でも丸のみしてきたような印象があるのですが、時代が変わってきたということなのでしょうかね。
実際のところそうした行為の繰り返しの結果が医師の信頼と忠誠心を失わせ公立病院からの医師の逃散ということに結びついてきた側面もありますから、これだけ医者集めに苦労している時代にあって未だ昔ながらの殿様商売をやっている施設があるとすればその方が驚きという言い方も出来るのかも知れません。
いずれにしても不幸な事故であることは言を待ちませんが、科学的にきちんと真相を究明し正しい判断に基づいて適切に後の処理をしていくということも同様の事例が再発してくることを防ぐために何より求められることではあるかなとも感じるところです。

ところで診療関連死の真相究明と言えば、先頃厚労省では「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」の延長を決めたというニュースが出ていました。
何故思いがけない死亡事例が発生したのかという原因究明は患者遺族に限らず医療従事者にとっても関心があるところでしょうからこうしたモデル事業もやっていけばよいと思うところですが、これに関連して先頃こんな記事が出ていましたのを目にした方も多いのではないかと思います。

解剖でも判断できず20% 診療関連死で学会調査(2009年7月3日47ニュース)

 2007年までの5年間に医師の診療に関連して患者が死亡して行われた司法・承諾解剖904件のうち、診療と死亡の因果関係について「解剖医では判断できない」とされた例が20%に上ったことが3日、日本法医学会の全国調査で分かった。診療ミスが明らかになったのは14%だった。

 診療関連死に関する学会の本格的調査は初めて。結果をまとめた舟山真人東北大教授(法医学)は「生前の状態も把握する臨床医と共に原因究明する必要があると分かった」と分析。国の「医療安全調査委員会(仮称)」設置をめぐる議論で参考にしてもらう意向だ。

 大学法医学教室など84機関にアンケート方式で実施、59機関が回答した。刑事訴訟法に基づいた司法解剖が734件、遺族の了解で行う承諾解剖が170件あった。

 調査によると、診療行為と死因との因果関係について「ミスが明らか」が14・7%、「ミスや事故の可能性が高い」が11・5%。「ミスの可能性は否定できない」15・3%「否定できる」31・9%で「判断できない」が20・9%に上った

 「明らか」と「可能性が高い」を合わせた237件について原因とみられるトラブルを複数回答で尋ねると、患者管理が80件、内科的処置や検査67件、外科手術60件、薬剤38件。警察への届け出は医療機関側が91・1%に対し、遺族からの届け出は8・0%だった。

この話、数字が高いか低いかは見る者によって評価が分かれるところだと思いますが、個人的には全死亡のうち80%の症例で診療行為と死因との因果関係をはっきり判断できると言うのならそれは少し言い過ぎではないのかなという気がします。
通常の病死などの剖検例では臨床経過から担当医はおおむね状態を予測しており、病理医も詳細なデータに基づいて検討を行い、それでも何かしらよく判らない報告書が出てくるということが時折見られるものだと思いますが、思いがけない死亡となりますと当然データの集積なども不十分でしょうから、よく判らない症例というのが多くなって当然だと思うのですけれどもね。
もっとも現在までのところこうした死因調査に回ってくる症例というのは極めて限定されていて、当然それなりのバイアスがかかっていると予想されますから、将来的にはるかに広範囲に解剖が行われるようになった場合に同様の結果になるというわけでもないのでしょう。

今後死因究明事業などがますます広範に行われていくとして、恐らく自分だけでなく多くの人々が恐れているのが、かつて散見されたいわゆる「トンデモ判決」の元となったとされる鑑定書の類のように、何かしらの意図をも込みでの結論ありきで本来判断不能とされるべきものまで妙な結論を導き出されてしまうことではないでしょうか。
以前にも書きましたように福島・大野病院事件でも保険金支払いのために有責という鑑定が必要なんだと県側に押し切られた結果あの起訴があったのだとは言われているところですが、被害者救済と真相究明、そして責任追及という行為はそれぞれきちんと分けて考えないと必ず科学ではない何かによる偏りが入ることは避けられないと思いますね。

厚労省は今も自省案による事故調設置を進める考えを崩していないようですが、何でもかんでも求めすぎてしまうと結局何もかも失ってしまうということを一度冷静に考え直してみるべきではないかと思うところですし、無過失補償制度やADRの整備も併用していくことによって真相究明と再発防止、被害者救済はそれぞれ別個のものとして成立するものだと思いますけれどね。

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2009年7月 5日 (日)

今日のぐり「うどん処あまからさん」

いやあ、今日も雨が降るかなと思っていたんですが、思いがけず暑かったですかね。
というわけで(どういうわけで?)、前回に続いて本日もまた世界に冠たるブリからの話題を紹介してみましょう。
まず一件目、人生五十年などと言っていた時代も今や遠い昔の話で、最近では元気なお年寄りも多いというご時世ですが、さすがブリともなると少しばかりケタが違うなと思わされる話がこちらです。

年金暮らしの70代、強盗を右フックでノックダウン(2009年07月02日AFP BBNews)

【7月2日 AFP】英国で、年金暮らしの70代男性宅にナイフを手に押し入った強盗が、家主の男性から散々に殴られて負傷するという事件があった。新聞各紙が1日報じた。

 事件は前年8月、オックスフォード(Oxford)近郊のボトリー(Botley)村で起きた。オールナイトのパーティーに参加して酒に酔っていたグレゴリー・マッカリアム(Gregory McCalium)被告は、近所で騒いで住民ともめた後、フランク・コーティ(Frank Corti)さん(72)宅に押し入り、夫妻にナイフを突きつけた。

 ところが、家主のコーティさんは元軍人で、学生時代にボクシング・フェザー級のチャンピオンになったという輝かしい経歴の持ち主だったのだ。

 コーティさんはタイムズ(Times)紙に対し、事件を次のように回想した。「(ナイフを)見たとき、やるかやられるかの問題だと思ったんだ。幸いなことに、奇襲の利はわたしのほうにあった。それで、ポジションを取って右手を繰り出したというわけさ」。こうして、犯人は目の周りに黒いあざを作り、くちびるは切れて出血する羽目になった。

 前月29日、オックスフォードの刑事法院はマッカリアム被告に対し、禁固4年6月の判決を下した。

 メディア各紙は、数々のボクシングのトロフィーを前にしたコーティさんの写真を、次のような談話とともに掲載した。「彼がナイフを投げつけてきた時は怖かったけれど、同じ状況になったら、誰もが同じことをするんじゃないかな。だって、自分のものも守れないでどうするんだい?」

この元記事を参照していただけると犯人の顔写真がそのものズバリ掲載されているのですが、はっきり言って漫画の世界です(心臓の弱い方はご覧にならない方がよろしいかも知れません)。
いやしかしちょっと待て、「同じ状況になったら、誰もが同じことをする」ってなんですかそれは。
我らがブリの方では「トレーニングされたこの人だから出来ることです。よい子は絶対真似しないでね」なんてテロップは流さないんでしょうか?

さてお次は少しばかり古いんですが、これを見たときは絶対に紹介せずにはいられないという気になった記事です。
最近の日本では空からおたまじゃくしが降ってきたと騒ぎになりましたが、さるがブリともなりますと驚きも質量とも圧倒的としか言いようがありません…ってそういう問題ですか??

車が舞い上がって民家の二階に突っ込む 英(2005年04月29日BBC)

【BBC】今週水曜深夜、英国はハンプシャーにて自動車が家の二階に飛び込んだとのこと。現在、警察は一体いかにして車が空中に舞い上がったのか調査中であるという。事故当時、車には二人が搭乗していたとみられ、一人は助手席から、またおそらくドライバーと思われるもう一人が前輪の下から重傷の状態で救出されている。また家の中で眠っていたハーマン夫妻は事故の音で目が覚めたものの、寝室にいたため怪我はなかったという。

「本当に恐ろしい出来事でした。音がしたとき、夫は下の階で犬が何かを壊したんじゃないかと言ったんです。ところが夫がドアを開けて見ると、壁には大きな穴があいて、家具がめちゃくちゃに動いていました。それから慌てて下へ行くと、そこに車があったんです。」

ハーマン家の被害はひどく、普通に暮らせるよう修復するには今後少なくとも2ヶ月はかかると話している。

「あり得ない事故ですね。車は道路から脇道にそれて、フェンスや標識、庭木や芝生を踏み倒したようです。しかし一体、どうやって二階まで車が飛び上がったのか、全く想像がつきません。」隣人のジョージ・ハリソン氏はそう語っている。(事故現場のスライドショー)

警察によれば、ハーマン家に突っ込んだ赤いBMWはおそらく近くを走るA30のカーブを曲がりきれずに脱線し、民家に入って庭石に乗り上げ、家の一階を壊して"空中に舞った"のではないかと推測しているという。「今後は一体いかにして車が一階部分を壊したのか、調査を行う予定です。」警察はそう話している。

また警察は自動車付近から発見された二人以外に、もう一人別にドライバーがいたという可能性も考慮し調査を行う予定であるとしている。また一時は窃盗車という推測もなされたが、これまで特に盗難届けは出ていないという。

これまでに怪我を負った人物の名は明らかにされていないとのこと。

こちらも元記事を参照していただけると見事な写真があるわけですが…いやいやいやいや!絶対これあり得ないですから!
日付を見ましても4月1日とか言うわけでもないようですが、いったいこれは何がどうなってこのような現象が発生したというのか…もはやそれは人智を越えてただ「ブリだから」で納得する以外にありません。

先日も早速一件報道されていましたが、毎年この時期になりますと車内に置き去りにされた子供さんが亡くなるという痛ましい事件が発生します(絶対にこういうことはやらないでください!)。
ところがブリともなりますと少しばかり趣が違って、犠牲になるのはこういうものらしいんですね。

英国の警察犬2匹、車内に閉じ込められ死亡 高温原因か(2009年7月3日CNN)

ロンドン(CNN) 英国の王立動物虐待防止協会(RSPCA)は2日、イングランド中部ノッティンガムシャーの警察に所属する警察犬2匹が車内に閉じ込められ、高温に苦しんで死亡した可能性があるとして調べていることを明らかにした。

地元警察もジャーマンシェパード2匹の死亡を確認し、同協会に報告した。死亡は6月30日の午後2時15分ごろに発見されていた。当時の気温は28度前後だったという。

RSPCAは犬の死因や車内に置かれていた状況などを調べている。

英国では最近、高温の日が続き、気象当局などは国民に注意を呼び掛けている。

いやしかし、日本では犬の熱中症などあまり報道されませんが、駐車場などでふと見てみますと車中に犬が取り残されているという光景、結構日本でも見ますよね?
こういう恐ろしいことがありますから、愛犬家の方々もくれぐれもご用心くださいましょうお願いいたします。

さて、最後はとっておきの素晴らしい映像をご紹介いたしましょう。
ブリと言えば昔から変態兵器の殿堂として有名ですが、その中でも極東某国を始め(おそらく)全世界的に圧倒的支持を得ている「キングオブ変態」とも言えるものが「パンジャンドラム」です。
パンジャンドラムに関してはそれはもうその筋ではあっちこっちでさんざん取り上げられていますから改めてここに触れませんが、一応その開発史として結構読みやすくまとまっているのはこちらあたりでしょうか。
一見していただいただけでどうみても正気の沙汰ではなさそうだなと(ブリ以外の世界中の健全な人間であれば)判りそうなシロモノなのですが、これを真面目に研究、開発していたり、ブリでは映画にまで登場してしまうほどの人気を誇っている「遅れてきた秘密兵器」らしいのですね。
この素晴らしく斜め上に疾走した挙げ句に歴史の彼方に埋もれてしまうはずの秘密兵器なんですが、なんとこのたびノルマンディー65周年を記念して再びこの世に降臨したというから驚くじゃありませんか!
全世界のパンジャンドラムファンが歓喜したこと、無論想像するに難くはありません。

パンジャンドラム、咆哮ス(2009年6月8日ブログ記事)より抜粋

素晴らしきパンジャンドラムは再び回りだす…

大陸反攻のために開発された秘匿兵器は、その記念日に再び咆哮をあげた。

The Great Panjandrum rolls again... Secret weapon designed for D-Day roars back to life for anniversary

神は再臨されたのである。

ぱんぢゃん\◎/どら~む!

いやあ…しかしリンク先を参照いただければまさしくその動画が参照できるんですが…正気ですか…orz
ちなみに同サイトでは原本にあたるあちゃらの記事をわざわざ和訳して紹介していただいているのですが、この記事自体がもうね、すばらしくブリ的なんですね…

想像を絶するブリの素晴らしさの前には、もはや我々凡人など恐れ入ってひれ伏すくらいのことしか出来そうにありませんな…

今日のぐり「うどん処あまからさん」

所用でたまたま車を走らせておりました折、ちょうど今までなかったはずのうどん屋が出来ているのに気がつきました。
そのまま通り過ぎようかとも思ったところが、「玉島温飩」なる看板を見て思わず車を停めてしまいました。
よく見ますと「自家製麺」「玉島の食材で玉島の味」などと言ううたい文句が並んでいますが、これは地産地消の店なのでしょうか?(JA等の看板はないようですが)。

実はこのお隣の鴨方地方はかねて「備中手延べ麺」などと称して製麺業が盛んなところなんですが、以前にその件について調べておりましたらどうもこの玉島あたりにも独自のうどんがあるらしいんですね。
これが当地の円通寺で修行した良寛さんも食したという「しのうどん」で、一本のうどんでお椀一杯分になるという長いうどんなんだそうですが、現在非常に限られた場所でしか流通していないようで今のところ実物を目にしたことはありません。
ま、そんなこんなで「玉島温飩」なるものはどういうものかとかねて興味があったわけですが、結論から言いますと上記「しのうどん」や「備中手延べ麺」とは余り関係のない讃岐系のうどんのようです。

地元の食材を使っているということなんですが、メニュー自体は見たところ比較的普通かな?と言うところで、値段も讃岐うどん系としてはごく普通(この界隈のうどん屋の相場からすると安め?)という感じでしょうか。
比較的珍しいとり天(名物、なんでしょうか?)などとのセットもあるようですが、こちらも値段としては高くありませんから、コストパフォーマンスはかなり高そうではありますよね。
ぶっかけ系のメニューが何種類かあるのは個人的に好感が持てるところなんですが(笑)、本日はとりあえずこのうちから「かきあげぶっかけ(冷)」を頼んでみました。

注文してから出てきた時間的には茹で立てというわけではなさそうですが、見たところいかにもごついという感じのうどんで、うどん表面の光り具合など見た目は悪くありませんですね。
実際に口にしてみますと表面はなめらかな舌触りでまずは合格、噛みしめると見た目通りのごつい食感にインパクトがありますが、これに関してはそれなりにコシもあるものの基本的には硬いうどんという感じです。
現時点では残念ながら良くできたうどんの官能的な食感というには今ふたつくらいかなとも思いますが、このうどんでしたら今のところ釜揚げなど温かい状態で食べてみるほうが良いのかも知れませんね。

ぶっかけとして残念なのは甘口のダシは味自体は悪くなく、別皿のワサビを適宜加えていくと少し味もしまってそれなりに良い感じになってはくるのですが、このごついうどんに対抗するにはいささか弱いなという印象が拭えないところですね。
このあたりは「うどんとしてうまい」と「ぶっかけうどんとしてうまい」をしっかり区別しているお店というのは意外に少ないというのも事実ですから、この店ばかりを非難するものでもありませんが、せっかくなのですからもう少し研究してみてはどうかなという感じでしょうか。
トッピングのかきあげはほぼ玉ねぎ天状態のようですが、揚げたてでそれなりに香ばしさはあるものの天ぷらとしての食感はもう一がんばり欲しいかなというところ、それでも先日の某店よりはずいぶんとマトモかなというものではあります。
まあこの界隈のうどん屋としては水準以上ですし、一つの料理として見た場合にはそれなりにまとまりは良いですから、一杯を食べ終わってそうそう不満が出るというものでもないかなという印象ですね。

店全般としては値段とのバランスで考えるとかなりお得感はあり、一方ぶっかけうどんとして見た場合には並みの上といったところでしょうか?
実際のところ高いわけでもなくまずいわけでもないのですから、とりあえず試しに入ってみる分には何も問題はないかなとも思うところです。
関係ないですが今回引用した「食べログ」でついたコメントにお店がいちいちレスつけてるのって始めて見ましたが、うどんの様子をみても店長さんは根がマメな性格なんでしょうかね。
それなりにやる気と向上心はありそうな感じですし、まだ出来たばかりということでこういうお店には今後更なる精進をして地域の名店として名を轟かせるよう期待したいところではありますよね。

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2009年7月 4日 (土)

いつまで黙っているつもりか、そちらの方が面白かったり

今日は最近密かに話題のあの件について少しばかり取り上げてみようかと思います。
まずは既報から関連するあたりを抜き出してみましょう。

鳩山代表に「故人」献金? 少なくとも5人、120万円(2009年6月16日朝日新聞)

 民主党の鳩山由紀夫代表の政治資金管理団体「友愛政経懇話会」の政治資金収支報告書に、すでに亡くなった人が個人献金者として記載されていることが分かった。朝日新聞が03~07年分の報告書を調べたところ、少なくとも5人の故人が延べ10回、120万円分を献金したことになっていた。遺族のうち、1人は「よく分からない」と答えたが、4人は「死亡後に献金した事実はない」としている。

 05年3月に亡くなった東京都内の旅行会社元社長は、生前から献金があり98~00年に年1万円、03年は25万円、04年は24万円が記載されていた。ところが死亡後もそれが24万円(05年)、10万円(06年)、15万円(07年)と続いている。
 元社長の妻は05年以降の個人献金を否定したうえで「なぜそんなことになっているのか。死亡後の献金なんて不愉快」。旅行会社側も「経理担当者が確認したが、会社がかかわった献金はなかった」と困惑気味に語った。
(略)
 鳩山氏は5月の代表就任会見で企業・団体献金の3年以内の禁止を打ち出した。さらに今春に配信した自身のメールマガジンでは、個人献金に対する税の優遇措置の拡大を訴えており、「企業献金から個人献金へ」の流れを唱える代表的存在だ。

 鳩山事務所は朝日新聞の取材に「誤記載だとは思うが、全体を調べてみたいと思う。事実とすれば本人や遺族に申し訳なく、誠心誠意対応したい」としている。

鳩山代表の団体へ「寄付否定」新たに13人(2009年6月30読売新聞)

 民主党の鳩山由紀夫代表の資金管理団体「友愛政経懇話会」が故人5人から寄付を受けたことが明らかになった問題で、実際に寄付をしていないのに「寄付者」として政治資金収支報告書に記載された疑いがあるケースが、新たに13人いることが読売新聞の調査でわかった。
 2003~07年分の収支報告書の記載内容を検証したもので、問題ある寄付の総額はすでに判明した分も含め、18人で計659万円に上った。

 調査対象は、03~07年の5年間に寄付者として記載された個人147人のうち、鳩山代表とその親族、秘書などを除く142人。88人から回答を得た。
 この結果、「記載通りに寄付した」というのは65人。本人や家族が「寄付した事実はない」と否定したのは、故人と判明していた5人も含め、東京、北海道、千葉、愛知、兵庫の計18人。うち故人だったケースは1人増え、6人になった。「はっきりと覚えていない」などとしたのは5人。
(略)
 政治資金規正法は、個人や企業・団体から年間5万円を超える寄付を受けた場合は、氏名や住所などを収支報告書に記載するよう義務付けている。

鳩山氏、虚偽記載は2177万円  原資はすべて本人資金(2009年6月30日共同通信)

 民主党の鳩山由紀夫代表は30日夕、国会内で記者会見し、政治資金収支報告書に記載の個人献金者が献金を否定したり、故人が含まれていた問題について、虚偽記載は2005~08年の4年間で約90人で193件、総額2177万8千円に上ると明らかにした。原資はすべて鳩山氏本人の資金で、不正なものは含まれていないと説明。「誠に申し訳ない。国民に深くおわびする」と陳謝した。

 問題となったのは、鳩山氏の資金管理団体「友愛政経懇話会」。鳩山氏は経理を担当していた公設秘書を解雇。収支報告書は鳩山氏からの貸付金として修正した。会計責任者の政策担当秘書については「しかるべき処分をしたい」と述べた。
 虚偽記載の理由に関し「経理担当者が私への個人献金があまりに少ないので『大変だ』と思ったようだ」と述べた。

 鳩山氏の依頼でこの問題を調査した弁護士は、報告書で「事実は鳩山氏にも、会計責任者にも打ち明けられてない」と経理担当者の独断との見解を提示。記者会見では、政治資金規正法違反容疑での告発も検討していることを明らかにした。
(略)

鳩山代表の収支報告書訂正、寄付者の8割・70人分削除(2009年7月2日読売新聞)

 民主党の鳩山由紀夫代表の資金管理団体「友愛政経懇話会」による政治資金収支報告書の虚偽記載問題で、鳩山代表側が訂正した報告書の内容が1日、わかった。

 総務省で閲覧できる2005~07年の同団体の報告書には、3年間に個人寄付として記載された88人のうち、約8割に上る70人の寄付(計1771万円分)がそっくり削除された。
 収支報告書によると、各年とも、掲載された個人寄付の金額の訂正は1件もなく、70人の寄付そのものがなかったとした。05年には、2回にわたり虚偽記載された人もいた。報告書に記載された寄付者は、05年で69人から18人、06年で51人から13人、07年で64人から16人と大幅に減った。
 この結果、個人寄付の総額が減ったため、報告書への記載が義務付けられていない5万円未満の「匿名寄付」の割合が増大。3年間で総額1億6755万円の個人寄付のうち、匿名の寄付は計1億430万円に上り、その割合も訂正前の56%から62%に拡大した。

 今回の訂正では、削除された個人寄付計1771万円分が、鳩山代表の「貸し付け」として処理され、07年段階で同団体への貸付総額は9771万円になった。
 同団体を巡っては、鳩山代表側の調査で、08年までの4年間で約90人が行った193件、計2177万円分の個人寄付が虚偽記載だったことが判明している。

匿名献金が突出 鳩山代表、5年で2億3千万円(2009年7月1日朝日新聞)

 民主党の鳩山由紀夫代表の政治資金管理団体「友愛政経懇話会」の政治資金収支報告書で、5万円以下などの条件を満たす匿名の個人献金の総額が、03~07年の5年間で計2億3千万円に上り、国会議員のなかで突出して多いことがわかった。
 匿名の個人献金の処理についても、「故人献金」で今回問題になった公設秘書が担当したという。謝罪会見で記者が「5万円以下の匿名献金も一定額ある」と指摘すると、調査にあたった弁護士は「その部分は終わっていない。調査を続ける」と説明した。

 政治資金規正法は、政治家の活動資金に透明性を持たせる観点から、献金者の氏名と献金額を収支報告書に記載することを義務づけている。ただし年間5万円以下、税の控除を受けないなどの条件を満たす小口の個人献金者は氏名や住所を記す必要がなく、「その他献金」として合計のみを記載すればよいとしている。
 修正前の03~07年の収支報告書によると、鳩山氏が集める個人献金は年間約5千万~1億1千万円で、与野党の代表クラスの政治家の資金管理団体と比較しても抜きんでている。ここ5代の自民、民主党の総裁、代表経験者と比較しても(表参照)、総額で突出している。

 さらに、鳩山氏の個人献金のうち、匿名の小口献金である「その他献金」は03年が約8千万円、04年約4600万円、05年約4千万円、06年約3700万円、07年約2800万円となっている。年平均で約4600万円は、他の総裁、代表経験者の平均約140万円を大きく上回る。03年は少なくとも1500人以上の匿名者からの小口献金があったことになる。
(略)

議員献金も個人資産? 鳩山代表あて 法令違反の疑い(2009年7月2日産経新聞)

 民主党の鳩山由紀夫代表が支部代表を務める「民主党北海道第9区総支部」に、平成15年から19年までの5年間、選挙区内の道市町議会議員42人(元職を含む)から、総額約1650万円の個人献金があったことが1日、鳩山氏の献金問題を追及する与党プロジェクトチーム(PT)の調査で分かった。
 献金はすべて毎年12月25日にそろって行われており、金額もほぼ同額で計画的に行われた可能性がある。PTでは「献金は鳩山氏個人の資産を原資とした可能性があり、政治資金規正法違反や詐欺の疑いもある」(自民党幹部)とみている。

 PTの調べによると、問題の個人献金は、鳩山氏を支援する北海道内の道議会議員4人や16市町の議員38人が行った。苫小牧市議は26万4000円▽登別市議は16万8000円-などと金額がほぼ横並びとなっているのが特徴だ。1回で64万円を献金した道議も1人いた。
 鳩山氏は、6月30日の記者会見で、自身の資金管理団体「友愛政経懇話会」の政治資金収支報告書に、故人からの献金が記載されていた問題に絡み、虚偽記載の献金の原資が鳩山氏本人の資金だったと釈明している。
 このためPTでは、地方議員からの個人献金の原資も「鳩山氏の資金だった可能性が高い」と指摘した。

 政治資金規正法の規定では、政党支部への個人献金は年間1000万円に制限されている。このため、与党側は、鳩山氏が地方議員らに資金を渡し、個人献金させることで実態を隠した疑いが強いとみている。
(略)

民主・鳩山氏、虚偽記載「疑念に答えた」=共産、社民は説明要求(2009年7月2日時事通信)

 民主党の鳩山由紀夫代表は2日夕、国会内で記者団に対し、自身の政治資金収支報告書の虚偽記載問題をめぐり、与野党から説明が不十分だとする声が上がっていることについて「(6月30日の)記者会見で国民が知りたがっている疑念や質問にすべてきちんと答えたつもりだ。わたしなりに説明は行ったと思っている」と語った。
(略)

鳩山代表らを告発=献金虚偽記載容疑で東京地検に(2009年7月3日時事通信)

 民主党の鳩山由紀夫代表が政治資金収支報告書に故人の名前などを記載していた問題で、「鳩山由紀夫を告発する会」を名乗る団体が3日、政治資金規正法違反容疑で、鳩山氏と会計責任者の秘書らの告発状を東京地検に提出した。
 告発状によると、鳩山氏の資金管理団体「友愛政経懇話会」の会計責任者と事務担当者は、2004~07年の政治資金収支報告書に、死亡した人物が寄付をしたとの虚偽の記載をしたとされる。また鳩山氏は資金管理団体の代表者として、06年と07年分の収支報告書の会計責任者を選任、監督するに当たり、注意を怠ったとされる。 

これだけずらずら並べますとずいぶんとすごい報道合戦のようにも思えますが、日付を見ていただいて判るとおり各紙ほとんどがぽつりぽつりという程度で、紙面の印象からはこの問題に関してほとんどスルーしているのかと感じられるくらいです。
この手の話に首を突っ込むことは当「ぐり研」の本意でもないのですが、外野から見ていても「え?疑念に答えた?そうなの?」と疑問符ありまくりの話にも関わらず、政治問題好きなマスコミがほとんど突っ込まないというのはどうしたものかと言う感じですね。
各紙の報道を集めまくってやっとこれだけですから、日常的に新聞とテレビしか見ていない多くの国民にとってはそんな話があったことすら知らないことなのかも知れません。
今ごろになって新聞紙上ではこんなことを書いていますが、問題発覚後半月以上もたった今ごろになってこういうことを言われてもどうなのよそれはと言いたくなるような話ではありますよね。

7月2日付 編集手帳(2009年7月2日読売新聞)

 老中松平定信は「寛政の改革」で文武に精を出すよう促し、これまでに学んだ師匠の名前を書き出せ、と旗本衆に命じた。遊び暮らす連中は困ったらしい◆弓は誰、馬は誰、学問は誰と、故人の名前ばかりを挙げ、「只今(ただいま)は皆、死去つかまつり候」と書く者が続出したと森銑三「古人往来」(中公文庫)にある◆「うそも大概にせよ、貴殿のことなど存じ申さぬ」とあの世から苦情が届くわけでもなし、書類のでっち上げに故人の名前が借用されるのは、今も昔もあまり変わらないようである◆鳩山由紀夫・民主党代表の資金管理団体が故人などを「寄付者」と偽り、政治資金収支報告書に記載していた。架空の献金は約90人分、4年間で総額2177万円にのぼる。違法献金事件で辞任した小沢一郎前代表のあとを受けて「党の顔」になった人に、この不祥事は情けない◆責任逃れの魔法の言葉「秘書が」にも懲り懲りだが、たかだか千万円単位の“はした金 ”にまで目が届かなくて――とでも言いたげな反省の弁の軽さ、金銭に対する感度の鈍さについていけない。永田町には寛政ならぬ「感性の改革」が要る。

【社説】鳩山氏虚偽献金―ああ、なんといい加減な(2009年7月2日朝日新聞)

 民主党の鳩山代表が虚偽献金の事実を認め、陳謝した。すでに死亡した人や、一度も献金したことがない人の名前を、個人献金者として政治資金収支報告書に載せていたという。
 なぜ、そんなことをしたのか。なお納得できない点は少なくない。

 鳩山氏は4人の弁護士に調査をゆだね、疑惑発覚から2週間で判明した経緯を説明した。それによると、架空の献金額は資料が保存されている05年以降で2100万円を超え、名前が使われた人は約90人に及ぶ。
 経理を担当する公設秘書が、個人献金を集める仕事を怠っていたのを隠すため、普段から預かっている鳩山氏個人の金を流用し、架空の献金をでっちあげていたという。
 二十数年つとめてきた秘書が独断でやり、鳩山氏自身は知らなかったと述べた。だとしても、報告書への虚偽記載は明白だ。政治資金規正法の違反である。鳩山氏の責任は重い。

 流用された金額は年に400万~700万円にのぼる。資産家として知られる鳩山氏だが、一昨日公表された年間所得は3千万円弱である。
 普段から1千万円を超える金を秘書に預け、鳩山氏の私的な支出にあてさせていたというが、本当に鳩山氏個人の金だけだったのか。出所を明かせない裏献金は入っていなかったか。他にも疑問はいくつもある。
 個人の金と政治資金が長年にわたってごちゃ混ぜにされていたのに、どのように使われたか、鳩山氏本人は関知していなかったことになる。なんとも釈然としない人は多かろう。

 小沢一郎前代表の公設秘書が逮捕された違法献金事件の反省から、民主党は3年後に企業献金を全廃し、個人献金を拡充する政策を総選挙マニフェストの柱の一つに掲げる方針だ。だが、その旗をふる立場の代表自身の個人献金がこの体たらくでは説得力を欠く。
(略)

特に面白いなと思うのが、総理がどこの店で飲み食いしたといったネタまで漁らなければならないほどネタに飢えていたはずのテレビが、ことこの件に関しては全くといっていいほど言及しないことです。
しかしさすがにこの段階にまで至ると誰でも不自然すぎるなと感じるところですが、当の本人達はこのまま黙っていればよいと思っているのでしょうかね?
そんな中でとうとう内部からもこんな声が上がるようになってきているようなんですが、今後どこまで彼らが沈黙を守り続けるのか、そしてそれを破る時になってどういう言い訳を持ち出すつもりなのかに要注目でしょうか。

【椿事件】辛坊「メディア全体が政権交代を視野に入れ、鳩山代表の献金問題について消極的な報道を行っている」(2009年7月2日ブログ記事)より抜粋

38 名前:名無しさん@十周年 投稿日:2009/07/01(水) 20:38:19 ID:/o/TgSGu0
これの録画持ってる人いないのか?

55 名前: 名無しさん@十周年: 投稿日: 2009/07/01(水) 17:50:07 ID: 724U2PRv0
今朝ズームインで辛抱が
メディアは民主の問題はスルーすることにしてるって暴露してたぞ
これは大問題だよォ

268 名前:名無しさん@十周年 投稿日:2009/07/01(水) 20:51:38 ID:KTaW5I2t0
>>38
実況の魚拓
ttp://s01.megalodon.jp/2009-0701-0657-56/live23.2ch.net/test/read.cgi/liventv/1246390496/

944 :名無しさんにズームイン!:2009/07/01(水) 05:53:47.96 ID:vwYWKQJw
>>875
辛坊発言 記事読みながら問題点色々指摘してから>
「ただ今回は、もういわゆるメディアも全体が、ある種の政権交替というのを視野に入れて今もういっぺん民主党の代表をそんなに叩くのはという思いもあるんでしょう。
特に、毎日新聞なんかほとんど扱ってないんですが、ただ、これは・・(鳩山の新聞記事刺して)ちょっと内容としてはかなり悪いかなっていう感じが、私の感覚だとするんですが、さぁどうなんでありましょう」

(略)
865 :名無しさんにズームイン!:2009/07/01(水) 05:41:11.41 ID:uKcL+0/0
さすが辛抱さん
テレビメディアが鳩ぽっぽ問題を
スルーしてることをコメントしたわ

875 :名無しさんにズームイン!:2009/07/01(水) 05:43:16.00 ID:48XAsCqW
>>865
コメントっていうか、政権交代を視野に入れてマスコミはあまり追求しませんよ宣言みたいだったけど?

877 :名無しさんにズームイン!:2009/07/01(水) 05:44:29.13 ID:f39SY9pA
>>875
すごく恐ろしいことを堂々をいってたな
マスコミは政権への影響を考えて仕事してますって

891 :名無しさんにズームイン!:2009/07/01(水) 05:46:51.30 ID:1TG14nnv
>>875
実は恐ろしい発言だな。マスコミ全力で政権交代しようと動いてると言ったようなもの

899 :名無しさんにズームイン!:2009/07/01(水) 05:47:38.98 ID:5g2ISdJR
日本のテレビマスゴミって諸悪の根源だよなぁ

放送法なんて全然機能してないし。

923 :名無しさんにズームイン!:2009/07/01(水) 05:50:24.61 ID:OMbm4d1X
椿事件って言ったて
ホント?

943 :名無しさんにズームイン!:2009/07/01(水) 05:53:41.55 ID:a7WCNbfA
辛抱は充分言ったと思うよ
かなり悪い、とも表現したじゃないか
椿事件状態だって認識はあるんだろう

上記の引用の中にも出てくる「椿事件」とは、マスコミが意図的に政治に介入することを公言した事例として今も語り継がれる事件です。

    椿事件 - wikipedia
    1993年9月21日 、民間放送連盟の「放送番組調査会」の会合の中で、
    テレビ朝日 報道局長の椿貞良が、 総選挙時の局の報道姿勢 に関して

        「 小沢一郎氏のけじめをことさらに追及する必要はない。
        今は自民党政権の存続を絶対に阻止して、
        なんでもよいから反自民の連立政権を成立させる手助けになるような報道をしようではないか 」

    との方針で局内をまとめたという趣旨の発言を行う。
    日本の放送史上で初めて、放送法違反による放送免許取消し処分が本格的に検討された事件である。
    <ソース>
    平成5年10月25日 第128回国会 政治改革に関する調査特別委員会 第8号 (国立国会図書館 公式サイト)

マスコミ、特にテレビメディアが今回の件についてどういう思惑でやっているのかは判りませんが、これだけ歩調を揃えての行動となると何かしら背後関係があるのかと疑わしいところではありますよね。
単なる反政権活動ということで野党第一党に肩入れしているのかも知れませんが、マスコミの中でも特にテレビ絡みで民主党に肩入れしたくなる事情というとこんなものも見つかってくるのですが、さて…

原口一博「民主党が政権とれば電波料をおもいっきり下げる」(2009年5月3日記事)より抜粋

・質問
民主党政権になればテレビは明るくなる?

民主党・原口一博氏(『次の内閣』総務大臣)
「明るくなりますよ~。だって今、電波料いくらとられてます?
一生懸命稼いでるのがですよ。天下りとか色んなのに遣われてるじゃないですか。
それ(電波料)をおもいっきり下げますから。
それと規制が多すぎるでしょ。放送法の中の規制、これも余分なものをとりたいですね。頑張ります。
(つまりテレビの未来は?)明るい。(以下略)」

★ソース
たかじんのそこまで言って委員会4月19日放送「テレビ界の未来」
http://www.youtube.com/watch?v=k-wqJ1lucJY(new window) (動画の4分過ぎから5分頃まで)
(略)

☆麻生JAPANアンドねら~完全勝利宣言☆
726. Posted by 2009年02月15日 22:23
ちなみに民主党某議員のお話によるとマスメディアは赤字続きで
6月の決算時期にM社が破綻することがほぼ確定するそうだ。
それに引き続いて、業界全体が打撃を受ける可能性が高いため
u氏とw氏が各政党に政権交代後、
各メディア社に公的資金(千億円規模)を投入するように打診したらしい。
もちろん自民党は拒否。
しかし民主党はその条件を飲み、代わりに政党の宣伝と、
現内閣のネガティブキャンペーンを締結した。との話。
だからあたり前なんだよ。
どっちにせよ解散総選挙は2ヶ月掛かるため
6月までにマスコミは何としても解散総選挙に持ち込みたいのよ。

ま、ネットの落書きにどこまでの信憑性があるのかははっきりしたものではありませんが、確かに民主党議員先生方のメディア露出は結構目立つのかなという印象は個人的にも受けているところではありますけれどね。
別にメディアに限ったことでもなく、人間のやることである限り文字通りの意味で絶対的に公正中立ということはあり得ませんから、報道が偏っているということ自体は殊更に非難することではないかも知れません。
しかし表向き公正中立をうたっておいて実際は偏向しているとすれば、これは何より視聴者に対する裏切り行為以外の何ものでもありません。

実のところこうしたメディアの偏向問題は別に日本に限った話でもなく、御存知テキサス親父もこのように憤慨しているようです。

テキサス親父 ニュースメディアの偏向(動画)

別に誰かの肩を持ちたいと言うことであればそれ自体は恥ずべき事でもなんでもないのですが、何らかの意図を隠して視聴者を騙すということであればこれは道義的にも許される話ではありません。
他人を騙すことに罪悪感を持たないメディアによって踊らされる国民こそ悲劇というものですが、今の時代にあってはこれも各人なりの自衛策で対応していくしかないということなのでしょうか。

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2009年7月 3日 (金)

誰も大きな声では言わないけれど

このところ社会的弱者に配慮するという行為は成熟した文明社会の特権とも言っていいものなのかなとも考えているのですが、これが極端に行き過ぎると逆に社会に妙な歪みをもたらすことになる場合もあります。
こうした事例に対して以前から「逆差別」などという言葉が使われていましたが、人種問題においてあれほどデリケートな対応を見せる合衆国においても先頃最高裁で「逆差別は違憲」なんて判決が出ていることには驚かされます。
最近は「プロ弱者」なんて言い方も広まっているようですが、いずれにしても理念の正しさはそれとして現実社会に還元していく過程で常に妙なことになっていないかと監視していく必要はあるということでしょうか。
それも確信犯的に制度を悪用しようなどという事例は論外としても、正しいはずの主張が何故か思いがけない結果を招いたともなれば誰にとっても不幸なことになってしまいますよね。

仰ることはまあ判るけれどもホントにそれが正しいことなの?と感じる最近の事例として、世に悪評高い後期高齢者医療制度ってホントにそんなに悪いものなのか?という素朴な疑問があります。
この件に限った話でもありませんが、最近は政権のやることはとりあえずなんでもかんでも批判するのがマスコミのお好みらしくて、あるいはそんな流れに沿って深く考えてみることもせずに批判を繰り広げているだけなのではないかと感じることって結構ありませんか?
仮にマスコミの論調=いわゆる世論であるとすれば、医療従事者と世論とは結構乖離しているんじゃないかなと思うことはままあるものですが、周囲の医療関係者と内輪話をしてみても制度の趣旨自体がそれほど悪く受け止められているという印象は受けないんですよね。
後期高齢者医療制度に関しては市民側の視点からの記事は多々ありますが、別の視点ではどうなのかということでまずはこんな記事を取り上げてみましょう。

後期高齢者医療制度という言葉、「違和感はなかった」(2009年7月1日ロハス・メディカル)

 昨年4月からスタートした「後期高齢者医療制度」という名称について、厚生労働省の担当者は中医協から、「専門的な人間の間ではそれほど違和感はなかった」との指摘があったことを明かした。(新井裕充)

 来年4月の診療報酬改定に向けた審議の中で、厚労省は合併症を抱える高齢者らを「複雑性指数」などの言葉で表現しているが、中医協から修正意見が出ている。

 「後期高齢者医療制度」の"トラウマ"から、制度の名称に神経質になっているのだろうか。

 「後期高齢者医療制度」は2008年度の診療報酬改定で導入された。75歳以上の高齢者を「後期高齢者」と呼び、健康保険や国民健康保険から追い出して強制加入させ、保険料を年金から天引きするだけでなく、保険料を払えなければ保険証を取り上げる制度に対し、批判が相次いだ。

 このため、厚生労働省は「長寿医療制度」という通称を使用したポスターやチラシなどで理解を求めたが、保険証の未着や保険料の天引きミスなどの混乱が続き、批判の嵐はやまなかった。同制度に対する批判は単に名称だけの問題だけではなかったように思われるが、厚労省は制度自体に内在する問題から目を背け、名称の変更でかわそうとしたようにも見えた。
(略)
 現在、在宅医療などの受け皿が整備されないまま「医療機能の分化と連携」という名の退院支援策が進められていることが問題になっている。厚労省の説明通り、「手間のかかる患者」にとって望ましい制度に変わると善意解釈していいのだろうか。

 むしろ中小病院を倒産に追い込み、入院できない患者が続出するような診療報酬改定を実施した後、「違和感はなかった」と開き直る可能性の方が高いようにも思えるが、果たしてどうか─。  
(略)

何でも「後期高齢者医療制度」というと語感が悪いということで、国の方では「長寿医療制度」と呼ぶことにしましょうなんて言っているそうですが、厚労省もよほど世間からは嫌われていることを自覚しているようですね(苦笑)。
しかしロハスの記者さんの批判目線はともかくとして、高齢者は若・壮年者とは別な医療の枠で扱おうと言う概念自体は案外医療の世界では忌避されているわけでもなさそうだなというイメージは垣間見える記事ではあるのかなと思います。

もちろんお年を召された方の場合そこから頑張って稼ぐというわけにもいきませんから、支払い能力がないからといきなり保険証を取り上げるだとか、在宅医療の整備もないのにいきなり療養病床だけ削って後は知らないといった態度は社会保障政策として大いに問題となることは言うまでもありません。
その意味ではこうしたキャッチーな哀しい物語を例にとって非難が集中するのも一面で理解はできるんですが、じゃあ高齢者は医療費(実質)タダ同然、家で世話するより病院に預けておいた方がずっと安上がりで手間いらずという状況が良いのかと言えば、それもまた違うんじゃないかと思うんですよね。

日本医師会などはもっぱら診療報酬の面でこの制度に反対しているようにも見受けられますが(苦笑)、現場に関わる人間が必ずしもこの制度に対して批判的というばかりでもないのは、大前提として「やっぱり高齢者の医療って若い人とは違うよね」という当たり前のコンセンサスがあるからではないかと言う気がしています。
特に超高齢者の看取りということを数多く経験すればするほど、心ある医療者であればなおさら「何か日本の医療っておかしいんじゃない?」と考え始めるものではないでしょうか。
このあたり、実際の臨床家の先生のブログにちょうどいい一例があげられていましたので、少しばかり古い記事なんですが紹介しておきましょう。

患者の皆さん、あきらめてください(2007年12月27日天国へのビザ記事)

中央公論1月号の特集、「医療崩壊の行方」の中で、若手医師の匿名座談会ー現場からの提言 という記事があった。
「患者のみなさん、まずはあきらめてください」
というタイトルがつけられている。これによると

厚労省は「自宅での看取り」を求め、「お産も産婆さんが家で取り上げる」ことをすすめようとしている。
そうすれば日本人の平均寿命は下がるし、出産死亡率は上がるけれど、まあ、それは仕方がないでしょう。
団塊の世代が老人になったとき今のように医師にかかるのは完全にあきらめるしかないでしょう。
すべて80年代に手を打たなかった厚労省が悪いと言えます。
団塊の世代に「医師にかからずに死んでください」と言っているようなものです。

この「あきらめてください」は、「医師にかかるのをあきらめてください」という意味のようだ。
先日、私も患者さんのご家族に、少し意味は違うが「あきらめてください」と言いたくなることがあった。
 *
95歳の男性、認知症のため施設に入っていた方が、肺炎を起こして入院した。
抗生剤治療を行い、一時回復に向かったように見えたが、黒色便が出て、Hb4.7と極度の貧血に至った。消化管出血による貧血と思われたが、呼吸状態が悪く、胃カメラなどの検査も危険で行えない状況だった。
息子さんと娘さんは輸血をしてほしいと言い、濃厚赤血球をオーダーした。3日間に分けて行う予定とした。
1日目は血液が届いたが、2日目は届かなかった。オーダーしたAB型の血液が不足しているという理由だった。
輸血製剤のオーダーをするとき、患者の年齢や重症度などは報告しない。この老人は95歳だから後回しにされたというわけではない。年齢に関係なく、若者で輸血を必要とする患者のところにも平等に血液が届かないということである。
95歳で死にゆこうとする老人に輸血を行うことに何の意味があるのだろう。昨日の血液が、未来のある若い患者のもとに行き渡ったら、助かる命があったかもしれない。
私は輸血製剤のオーダーを取り消した。そして、家族にそれを話した。
娘は泣き崩れた。
「お願いです。できるだけのことをしてください!」
95歳、認知症で施設に入っていた患者である。もう寿命とは思えないのだろうか。
できるだけの看護をしてくださいというのなら分かる。しかし、できるだけの治療をしなければならないのだろうか。
不足している医療資源を奪ってまで、95歳の老人の命を数日長引かせることに何の意味があるのだろう。
しかし、その家族は自分の親の命を1日でも長引かせることで頭がいっぱいのようだった。

このご家族が特殊なわけではない。
死を受け入れることができない人が増えている。
「老いたら死ぬ」そんなことがこの国では当たり前のことではなくなっている。
老いてもとことんまで治療され、生かされる。自分の意志とは無関係に。
そして、そのために限りある医療費が使われているのだ。
「できるだけのことをしてくれ」という家族は思いもしないだろう。自分が老iいて死ぬとき、病院にかかることさえできなくなるかも知れないなどとは・・。
肉親の死は悲しく辛い。たとえ95歳の大往生であっても辛いものは辛いだろう。
しかし、人間は永遠に生きることはできないのである。 肉親の死を受け入れ、悲しみを乗り越えなければならない。

日本人の死生観は明らかにおかしくなっている。
今こそ見直さなければならない時期にきているだろう。

日本の医療制度が日本人の死生観を変えてきたんじゃないか(それも何か歪んだ方向に)という点については個人的に同意するところ大ですが、こちら記事もさることながらコメント欄がなかなか興味深いですのでご一読いただければと思います。
ここにおいてもやはり日本人というものはホンネとタテマエというものから離れられないのかなという印象も受けたのですが、どうでしょうか。
ロハス・メディカルさんでは過去に後期高齢者医療制度絡みで別な記事も取り上げていますが、こちらも看取りと言うことに関連して医療従事者のホンネと家族のホンネが見え隠れするなかなか興味深い記事ですので併せてご参照いただければと思います。

終末期の治療方針、「家族の意見がバラバラ」(2009年4月26日ロハス・メディカル)

看取りということに都市部では本当にドライになってきているところもありますが、地方では未だに死というものにも格付けみたいなものがあるようです。
どこの病院で死んだ、亡くなるまで何日保ったといったことが亡くなった後で結構話題になるらしく、「あの病院で看取ったか。親孝行したな」だとか「血を分けた親をあんなところで看取った?なんでまた?」みたいなことを周囲から言われるらしいんですね。
その結果どう見ても自然経過でお看取りすべきような方々が田舎の小さな病院から基幹病院に送りつけられてくる、そしてただでさえ一杯の病床をただ看取るという行為のためだけに埋めていくわけです。
別にそれ自体は本来は美談で済む話なのかも知れませんが、その陰で直ちに入院させて治療を始めなければならない人がベッドがない、どうしようと大騒ぎになっているとしたらこれは穏やかではありませんよね。

医療と言うものはやはりお金がかかりますし、それも普通であったらとても一般人には負担が出来ないようなレベルであっという間にお金が消費されていく局面というのが唐突に訪れるということが珍しくありません。
もちろん高額医療費に引っかかっても自己負担分は払っているわけですし、そもそもそうしたとっさの出費のために普段から安くもない保険料を支払っているわけですから、制度の範囲内で十二分にそれを活用することも誰憚ることのない権利ではあるでしょう。
しかし「え?大盛りサービスなの?それじゃ頼んじゃおうかな」といった感覚で「え?支払い額は変わらないの?それじゃ出来ることは全部やってもらおうかな」とあっさりと決断されてしまうには、いささか医療資源は金銭的にも人員的にも逼迫しすぎているというのも事実なんですね。

別にお金がかかってもやることに意味があるのであれば幾らでもやるだけの覚悟は多くの臨床家が持っているんだと思いますが、では本当にその行為に意味があるのかという疑問も臨床の現場ではしばしば遭遇します。
まして単に無意味であるだけならばまだしも、その行為によって他のもっと大切なものが犠牲になっていると感じられるようになれば、人は容易にそのモチベーションを失うものです。
こういうことを言うと「人の生き死にに慣れきってしまって感覚がおかしくなった者の言うことだ」と批判されてしまう場合も時にあるわけですが、本音の部分で皆さん本当に「何でも全部」ということをお望みなのかという疑問はそうした現場に遭遇したことのある者なら誰しも内心抱いているところではないでしょうか?
本来なら一昔前に「スパゲッティ症候群」などと医療批判を繰り広げたマスコミこそ真っ先にこうしたところを掘り下げていかなければならなかったんじゃないかと思うのですが、未だ感傷的な批判ないしは為にする政策批判の道具としてしか医療制度を取り上げていないように見えるのは残念ですよね。

その昔は田舎では医者を呼ぶと言えばそれこそ死亡確認の時だけで、それも夜中に起こすなんてことはなくわざわざ夜が明けてから呼びに行ったといった話が普通にあったそうですが、今の時代「自分は家で看取りたいけれども、親戚の目があるから…」と伏し目がちに末期高齢者の看取り入院を希望する人々は本当に多いものです。
金銭で命が決められてしまうといえば何かしら良くないことのように思われるかも知れませんが、もし金銭的負担というものが一つの契機となって妙な方向に進んできてしまった死生観というものがより真っ当な方向に修正されていくというのであれば、それは必ずしも悪いことばかりでもないのかなという気がするのですけれどもね。
人はいずれ必ず死ぬ、まして死ぬべき人が死んでいくということならこれは当たり前の自然の摂理とも言うべきことで、むしろそれを妙に歪めてしまうような作為を何より本人こそが望んでいないのではないかと、恐らく生前病院に顔を出したこともない遠い親戚よりも、亡くなるその日まで日夜病床に付き添っていた家族の方ほど痛感しているのではないでしょうか。

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2009年7月 2日 (木)

新型インフルエンザ、なぜか夏とともに再加速の兆し?

前回に引き続いて、今日も新型インフルエンザ絡みの新しい話題をみていきますが、結論から言いますとどうやら誰もが「何かおかしいぞ?」と感じ始めているようですね。

さて、既に実数把握も困難となっている新型インフルエンザですが、順調に患者数は増加している中で予想通りという事態が次々と報告されています。
まずはこちら、いずれどこでもそうなるという話からご紹介しましょう。

【新型インフル】看護師5人が院内感染か 市立川崎病院(2009年6月26日産経新聞)

 川崎市は26日、市立川崎病院の看護師5人が新型インフルエンザに感染したと発表した。5人は同じ集中治療室(ICU)病棟に勤務しており、院内感染とみられる

 市は、濃厚接触者に当たる同僚の医師や看護師らのほか、治療を受けた患者の検査をしているが、ほかに症状が出ている人はいない。

 市によると、同病院は新型インフルエンザ患者を治療する感染症指定医療機関だが、5人は感染症病棟に出入りしていない。ICUではマスクや感染防護服などをして患者に接するため、患者からの感染や患者への感染の可能性は低いとしている。

【新型インフル】タミフル耐性を初確認 デンマークの感染者(2009年6月30日産経新聞)

 世界保健機関(WHO)は29日、デンマークの新型インフルエンザ感染者の中から、抗ウイルス剤タミフルに耐性を持つ初のウイルス検体が確認されたことを明らかにした。

 タミフル投与はワクチンが完成していない現在、新型インフルエンザの治療で最も有効な手段だが、タミフルが効かないウイルスの感染が拡大すれば、対策の練り直しを迫られる恐れもある。

 WHO当局者によると、耐性ウイルスはデンマークの軽症患者1人から確認された。患者は既に回復して元気になっている。ウイルスは同じH1N1型が突然変異したものだが、今のところ耐性ウイルスが拡大する兆しはみられないという。

 WHOは加盟国間を結ぶ情報網を通じて耐性ウイルスの確認を伝達。拡大しないかどうかを注視する方針。(共同)

ICUと言えば感染症患者の吸引等は当然にしているでしょうから、感染防御に対するマスクの効能ということを考えた場合に常時N95マスクでも正しく装着しているとか言うのでなければ必ずしも患者からの感染を否定できないような気もするのですが…
それはともかくとして、一度こういうことになってきますと後は広がっていくばかりと思われますから、まもなくニュースバリューもないほどに珍しくもない話になっていくのは確実なのでしょう。
気になるのはこうした院内感染や耐性ウイルスといったものによって、以前に他の感染症で経験されたが如く新たな訴訟リスクが高まることも十二分にあり得るのかなと懸念されるところです。
民事訴訟は訴える自由は保障されているとはいえ、一度そういうことになりましたなら現状ですら損ばかり被っている各地の医療機関が一斉に手を引き始める可能性すら無しとはしませんよね。

一方で、発熱外来であるとか隔離病棟であるとかコストが高い割に、診療報酬上は従来型インフルエンザと同じということで病院にとっては持ち出し確実な新型インフルエンザの診療ですが、そろそろ経営的な実態が表に出てきたようです。
特に患者が集中する施設ですと既に大変な目にあっているらしいというニュースをこちらから引用してみましょう。

新型インフルによる減収で財政支援など要望-全自病(2009年6月25日CBニュース)

 全国自治体病院協議会(邉見公雄会長)は6月25日の記者会見で、新型インフルエンザ対策に関する要望書を舛添要一厚生労働相に提出することを明らかにした。要望書では、自治体病院などの医療機関で、緊急対応のための病床確保や外来患者の減少によって減収となっていることから、補助支援などの体制構築を要望する。

 具体的には、▽施設設備費▽設備整備費▽運営経費(間接的経費を含む)―のほか、診療を行う医療従事者に対する補償制度と医療物資の供給確保を求める。

 邉見会長は自治体病院への新型インフルエンザの影響について、奈良県のある病院が発熱外来を設置したために、救急外来に対応し切れなくなった結果、病床稼働率が90%から60%になってしまい、収入が1億円近く減少としたという例などを挙げた。その上で、「公立病院の使命なので仕方がない」としながらも、会員病院からの悲痛な訴えを受け、同日開かれた常務理事会で要望書の提出を決めたという。

このあたりは折から選挙も近づいているところではありますから、世論を巻き込んでうまいことアピールすればそれなりに面白い話が引き出せるのかも知れないところなんですが、果たして医療関係者の中にそういう策士がいるかという話ですよね(苦笑)。
凋落著しい医師会の政治力なんてものを見ているだけでも既に業界圧力団体としてすら機能していないということが丸わかりなんですが、せっかくですから新設の全医連あたりがここらで一つ強烈なアピールで男を上げてみるというのもいいんじゃないでしょうか?

それはともかく、夏がくれば流行は終息するなどと言う話が何処に行ったのかと今や世界的に話題になってきているようです。
最近になってようやく実数データが出てきていることもあって、日本国内でもいつまで経っても終息の気配が見えないことがようやく騒がれてきているところですが、実は日本に限らず海外でも同じような傾向であるようですね。
もともとインフルエンザというウイルスは実験室レベルでも体温よりやや低い33~34℃くらいで良く増えるということが知られていますが、あるいはこれは温度感受性の変化といった新型ウイルスの持つ何らかの生物学的特性によるものやも知れませんね。

新型インフル、感染第3の山突入か(2009年6月25日読売新聞)

 国内における新型インフルエンザ感染者は、世界保健機関(WHO)が4月27日に初めて警戒レベルを引き上げてから約2か月で1000人を超えた。

 感染は今も収まる兆しを見せておらず、政府の新型インフルエンザ対策本部専門家諮問委員会の尾身茂委員長は「今後も感染が急拡大する南半球からのウイルス流入は避けられず、夏場も今のような状況が続くだろう」と指摘している。

 発症日ごとの流行状況をまとめた厚生労働省の集計によると、国内の感染者は兵庫県と大阪府の高校で集団感染があった5月17日に67人とピークを迎えたが、休校措置の効果が出て下火になった。しかし6月上旬に福岡市の小中学校などで新たな感染が確認されると、同月10日に42人が発症し、2度目のピークを記録。その後も東京都内の高校などで感染が相次いだほか、海外からの帰国者の発症も増えている。同省が集計を週1回に切り替えた19日以降も感染者は1日40~50人ほど確認されており、流行は第3の「山」に入っている可能性がある。

 同省によると、感染者の約7割は10代以下の若い世代。これまで重症化の報告はない。同省の担当者は「海外渡航歴などもなく、感染源が全く分からない感染者が一定の割合で出てきているのは確か」と徐々に感染が広がっていることは認める一方、「感染者の7~8割はすでに完治し、患者が急増しているわけではない」と強調する。

 政府は当面、行動計画を現在の第2段階(国内発生早期)から第3段階(まんえん期など)に引き上げず、流行の第2波が予想される秋以降に向け、妊婦や持病がある人など重症化する恐れがある患者の治療を最優先する医療体制の整備などを急ぐ方針。

 WHOの発表(24日現在)によると、世界の累計感染者数は5万5000人を超え、最も多いのは米国の2万1449人。冬場に入る南半球でチリが4315人、オーストラリアが2857人などと急増中で、死者も世界全体で238人出ている。

新型インフル、不気味な拡大(2009年6月30日読売新聞)

米CDC「真夏に消滅」撤回

 新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の感染者が、世界で増え続けている。世界保健機関(WHO)がウイルスの警戒水準を「フェーズ6」に引き上げ、世界的大流行を宣言してから半月余り。

 ウイルスが活発化する冬に入った南半球だけでなく、夏を迎える北半球でもウイルスは依然、広がっており、病原性を増すようなウイルスの変化にも警戒を怠れない。(ワシントン 山田哲朗、バンコク 田原徳容、ジャカルタ 林英彰、ジュネーブ 平本秀樹)

南半球で急増

 新型インフルエンザが最初に発生したメキシコのリゾート地カンクンで7月1~3日、WHOのマーガレット・チャン事務局長や日本の厚生労働省幹部も参加して、国際会議が開かれる。新型インフルエンザ対策を練り直すのが狙いだ。

 メキシコと共に最初に感染が広がった米国は、感染が確認された人が2万人を超えており、今も世界最大の感染国だ。米疾病対策センター(CDC)による25日の集計では、感染者は1週間前より6000人以上増え、感染の勢いは加速している。

 CDCは当初、「北半球でウイルスは、真夏になれば消える」と予測したが、秋冬の流行シーズンまでじりじりと感染が続くとの見通しに改めた。CDCは26日、受診していない軽症患者を入れると全米の感染者はすでに100万人以上に上るとの推計を示した。

 南半球では、感染拡大の勢いはさらに著しい。WHOによると、豪州と南米アルゼンチン、チリの3か国の感染者の合計は、26日までの1週間で3600人増えて、9800人を超えた。人口当たりだと、米国の2倍以上のテンポだ。
(略)
 国内では、関西での新型インフルエンザの感染が一時のピークを過ぎた後も、各地で感染者が相次いで見つかっている。厚生労働省などによると、感染者数は29日午前11時現在で42都道府県1214人(検疫、在日米軍基地を含む)に達した。世界的にみても9番目(26日現在)に多いという。

 6月に入って気温が上昇しても感染が続き、20歳代以下が感染者の8割を占めるなど、季節性インフルエンザと異なる傾向を示す。ただ、現時点で重症化した症例はなく、約7割はすでに治癒している。

 岡部信彦・国立感染症研究所感染症情報センター長は「感染経路がはっきり分からないケースが増えている。地域的にもばらけており、感染がくすぶっている」として、今後も断続的に感染が広がると予想する。政府の諮問委員会委員長の尾身茂・自治医大教授も「秋冬に、感染が大きく広がる可能性が高い。長期戦の覚悟をした方がよい」と注意を呼びかける。

 政府は秋以降の第2波に備え、感染者は原則、全医療機関で受診し、重症者以外は自宅療養とする方針を示した。新型向けのワクチンは、国内4メーカーが来月にも製造に着手する方針だ。(科学部 高田真之)

いずれにしてもここまでくるともはや一朝一夕で片付く問題でもないことは当然なのですが、ひと頃のパニック的状況が通り過ぎた後となって、面白いのは国民の反応なんですよね。
最近はマスコミ報道などもすっかり下火であることからも判るように、すでに国民の関心は新型インフルエンザから離れているんじゃないかとも取れる節があります。
秋以降順次新型対応のワクチンが出荷できるようになってくるとされていますが、その一方でこういう報道を目にするにつけ、たくましいと捉えるべきか熱しやすく冷めやすい国民性の表れと見るべきか判断に迷うところなんですけれども(苦笑)。

ワクチン接種希望、新型が季節性を下回る(2009年 6月24日CBニュース)

今秋以降の再流行が懸念される新型インフルエンザのワクチンの接種を希望する人の割合は51.3%で、季節性インフルエンザワクチンの接種を希望する人の53.1%をわずかに下回っていることが、三菱総合研究所の調査で明らかになった。

調査は、20歳以上の男女を対象に、6月9、10日に実施。1032人から回答を得た。

それによると、今後開発が進められる新型インフルエンザワクチンを「接種したいと思うか」と聞いたところ、「接種したい」と答えた人は51.3%。「分からない」は27.5%、「接種したくない」は21.2%だった。
また、季節性インフルエンザワクチンの接種については、「接種したい」が53.1%で、新型インフルエンザワクチンよりも接種を希望する人がやや多かった。

■勤務先や学校、過半数が「通常通り」
新型インフルエンザへの感染を防ぐため、自身や家族がどのような行動を取ったかを聞いた質問では、「新聞やテレビで情報を収集した」が75.9%で最も多く、以下は「手洗いや手指消毒を励行した」(74.3%)、「マスクを購入、備蓄した」(48.1%)、「外出時にマスクを着用した」(39.1%)と続いた。

また、勤務先や学校で取られた措置について聞いたところ、「通常通りだった」が57.6%で半数を超えた。以下は、「会社や学校の入り口やトイレ等に消毒液が設置された」(17.9%)、「通勤や通学時のマスク着用を求められた」(16.3%)、「会社や学校の建物に入る際の手洗いを求められた」(14.2%)だった。

■患者未発生で休校、約半数が「厳し過ぎた」
国や自治体の対策の中で「厳し過ぎた」(「やや厳し過ぎた」「非常に厳し過ぎた/実施すべきではなかった」)との声が最も多かったのは「患者が発生していない学校の休校」で、45.2%に上った。
一方、「厳しくするべきだった」(「もっと厳しくするべきだった」「もう少し厳しくするべきだった」)とされたのは、「国際空港等での水際対策」が最も多く、38.7%だった。

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